- 83 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:00:36 ID:NDEZfeuM0
( ^ω^)「皿洗い終わったお」
(゚、゚トソン「ありがと。でも気を使わなくていいわよ?」
( ^ω^)「泊めさせてもらってるんだから、これくらいはするお」
第四話「決戦! 超展開でよかろうもん!」
( ^ω^)「出来ればバイト代も欲しいお」
(゚、゚トソン「厚かましいわね……」
トソンのバーに寝泊まりを始めて、一週間が経っていた。
- 84 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:03:33 ID:NDEZfeuM0
時折(五分に二回ペース)銃声が聞こえる以外、特に変わったことはない。
<゚Д゚=>「大変だ姐さん!」
そんな日常を破ったのは、一人のギャングだった。
(゚、゚トソン「その呼び方やめて」
<゚Д゚=>「モララー兄貴が……!」
(゚、゚トソン「え?」
<゚Д゚=>「親不孝通りで、ギャングたちに囲まれてる!」
( ^ω^)(何そのエキセントリックな通り)
(゚、゚;トソン「何ですって!?」
- 85 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:05:57 ID:NDEZfeuM0
<゚Д゚=>「兄貴、働きすぎたんだ……。色んなギャングの反感を買ってた。
だからあいつら、モララーの兄貴を殺す為に、結託しやがったんだ!」
(゚、゚;トソン「なんてこと……!」
( ;^ω^)「もしかしてモララーがピンチかお?」
(゚、゚;トソン「そう、みたいね」
( ;^ω^)「大変だお!ブーンが行ってくるお!」
(゚、゚;トソン「駄目よ。死にに行くようなものだわ。私が行く」
( ;^ω^)「それこそ自殺だお!」
<゚Д゚=>「誰ですかこの肉まんじゅうは」
( ^ω^)「お前初対面の人にはもっと言い方あるだろ…ふくよかな方とか…」
- 86 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:08:50 ID:NDEZfeuM0
(゚、゚トソン「この人は、群馬に行きたいっていう人。モララーを仲間にしたいらしいわ」
<゚Д゚=>「群馬に……」
( ^ω^)「そうだお!群馬マスターブーンとはブーンのことだお!」
<゚Д゚;=>「お願いします!!!!」
( ;^ω^)「うおっ!ジャパニーズ土下座!?」
<゚Д゚=>「兄貴は……兄貴は今、色んなもの、見失ってる!
昔みたいな優しい兄貴に変えてくれるのは、あんたしかいない!」
( ^ω^)「お前初対面の人をどんだけ信用してんだお……」
- 87 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:11:17 ID:NDEZfeuM0
(゚、゚トソン「私からも、お願いしていい?」
( ^ω^)「トソンさん!」
(゚、゚トソン「私は初対面じゃないわ。それに、あの馬鹿を止められるのは、あいつ以上の馬鹿だけ」
(゚ー゚トソン「……お願い」
( ^ω^)「トソン……さん?」
(;ー;トソン「私には、出来ないの……お願い」
ブーンの全身に不思議な力がみなぎってきた。
それは人が、覚悟と呼ぶ意識の力。
- 88 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:12:58 ID:NDEZfeuM0
( ^ω^)「わかったお!」
<゚Д゚=>「肉まんじゅうの兄貴!」
( ^ω^)「うるさい黙れハゲ!」
⊂二( ^ω^)⊃「ブーンが必ず、モララーの目を覚ましてやるお!」
(゚、゚トソン「うん!」
<゚Д゚=>「親不孝通りまでは俺が案内しやす!」
( ^ω^)「頼むぞうっかりはちべい!」
<゚Д゚=>「立ち位置は似てるけども!」
- 89 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:15:37 ID:NDEZfeuM0
―――親不孝通り
本来ここは、ストリートチルドレンたちが集まる場所である。
モララーとトソン、そして彼の妹つーは、ここで育った。
( ;・∀・)「はぁ……はぁ……」
( ;・∀・)「どうやら……ここまでかな」
路地裏の壁にもたれて息を荒くしている。
額から流れた血が顎を伝って地面に落ちた。
- 90 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:18:41 ID:NDEZfeuM0
周りには、数十のギャングたちがサブマシンガン、グレネードランチャー、
小型ロケット砲を携えてモララーを捜していた。
( ;・∀・)「くく、くくく。俺も焼きが回ったな」
( ;・∀・)(あの日、戦闘で負け無しだった俺は、群馬に一人で突入した。
だが、たった一人の男に返り討ちにあって、何かが変わった)
( ;・∀・)「そうさ。一人じゃ、何も出来ない……兵隊だ。兵隊がいなきゃ、戦争なんかできねえ。
もう少しだったんだ。もう少しで、俺だけの兵隊ができるところだった……のに……」
( ;-∀-)(すまねえ、つー)
- 91 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:19:42 ID:NDEZfeuM0
周りから喧噪が弾け、徐々に近づいてくる。
( ;-∀-)
とうとう見つかったと思った。
( ;・∀・)
しかし、様子がおかしいことに気がついた。
( ;・∀・)「誰かが……俺を呼んでいる?」
- 92 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:20:54 ID:NDEZfeuM0
⊂二( ;^ω^)⊃「モララアアアアア!!!何処だお!!!」
( l v l)「撃て!撃ち殺せ!!!」
彡 l v lミ「うっひょおお!!わしのミサイルが火を噴くぜええ!!!」
( ;・∀・)「お、お前、何やってんだ!」
( ;^ω^)「いたー!」
( l v l)彡 l v lミ「いたー!!!」
- 93 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:22:48 ID:NDEZfeuM0
( ;・∀・)「ぐっ!」
流れた血の量が多く、一瞬意識がぐらつく。
( ;・∀・)「こっちに来い!」
ブーンの腕を引っ張り、路地裏の奥へと二人で駆けた。
( ;・∀・)「どうしてここにいるんだ!」
( ;^ω^)「群馬に!ブーンは群馬に行きたいんだお!モララーと一緒に!」
( ;・∀・)「馬鹿が!俺とお前だけで群馬が攻略できる訳がねえ!」
( ;^ω^)「有象無象の兵隊を集めたところで攻略できる訳ないお!」
( ;・∀・)「なんだと!?」
- 94 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:27:02 ID:NDEZfeuM0
二人が駆けていった先は、駅裏にある警固公園だった。
( ;^ω^)「ここはまさか……!」
( ;・∀・)「どうした!?」
( ;^ω^)「あの超プリティーシンガーソングライターYUIがスカウトされた場所かお!?」
( ;・∀・)「このタイミングでミーハー!?」
( ;・∀・)「……どうやら、鬼ごっこはここまでのようだ」
( ;^ω^)「本当みたいだお……」
ブーンがミーハーな知識を披露した瞬間、数百人のギャングが公園を取り囲んでいるのが見えた。
絶体絶命だった。
- 95 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:29:22 ID:NDEZfeuM0
( ・∀・)「武器、何か持ってるか?」
( ;^ω^)「さっき九産大のやつがポイ捨てしていったトカレフなら……」
( ・∀・)「トカレフは時代遅れだからな。弾は?」
( ^ω^)「えーっと……」
カートリッジを取りだした。
ブーンの手のひらに、一発の弾丸がころんと転がる。
( ^ω^)「一発もあったお!」
( ;・∀・)「凄いポジティブ!」
彡 l v lミ「モララー。今日が年貢の納め時だな」
- 96 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:31:05 ID:NDEZfeuM0
相手は、様々な重火器を所持した数百人のギャング。
対してこちらは、弾丸一発とトカレフ。
( ・∀・)「はぁ。今日が俺の寿命かよ」
( ;^ω^)「いやだあああああ!主人公補正は!?
ブーンさんが覚醒して相手を蹴散らす展開は!?」
( l v l)「一斉射撃準備!」
( ;ω;)「お、お助けえええええ!!!」
( ・∀・)「なあ、最後に一つ、聞いていいか?」
( ^ω^)「なになにー?」
- 97 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:32:51 ID:NDEZfeuM0
( ・∀・)「お前、どうして群馬に?」
( ^ω^)「父さんを助けるためだお」
( ・∀・)「そうか。俺と、似たようなもんだな」
( ^ω^)「そうだお……お前こんなところで死んでいいのかお!?」
( ・∀・)「どうせ妹も助からん……」
( ;^ω^)「そんなことないお!ブーンとお前が組めば群馬は攻略できる!」
( ・∀・)「どうしてそう言い切れる?」
- 98 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:34:45 ID:NDEZfeuM0
( ;^ω^)「ブーンだけじゃないお!
仲間はもう二人捜す予定だし、群馬の中には俺の父さんもいる!
それに……それに……」
( ;^ω^)「ブーンには、執念がある!家族を守りたい執念があるんだお!」
( ゚ω゚)「群馬なんて執念で凌駕してみせるお!!!
人の執念は何よりも強いんだお!!!!!」
( ・∀・)「馬鹿か」
( ゚ω゚)「んもおおおおお最近みんなブーンのこと馬鹿にし過ぎ!!」
- 99 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:36:17 ID:NDEZfeuM0
( ・∀・)「だが、執念か」
彡 l v lミ「撃てええええええええ!!!」
( ・∀・)「忘れていた……負けられないという、その気持ち。久しく、忘れていた……」
モララーの耳に、"重火器の声"が聞こえ始めた。
手のひらに乗せたトカレフの弾に、指を合わせる。
- 100 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:37:54 ID:NDEZfeuM0
( ・∀・)
瞬間、世界から全ての音が消え、モララー特有の感覚のみが浮き彫りになる。
鉄の声。
鉄の鼓動。
鉄の息吹。
火薬の律動。
空気を伝わって全ての重火器がモララーに語りかけてきた。
モララーはそれらの声に耳を傾けながら、手のひらの弾丸を、指で弾いた。
- 101 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:40:13 ID:NDEZfeuM0
指で弾かれた、たった一発の弾丸は、宙を舞っていた一発の弾丸に当たる。
軌道を逸れた弾丸がまた別の弾丸に当たる。
連鎖。
加速、減速、跳弾、弾と弾がぶつかり合い、奇跡のタイミングで連鎖が続く。
勝負は一瞬で終わった。
( ;-ω-)「うーん、うーん、死んだお?ブーン死んだお?」
( ・∀・)「目を開けろ」
( ;^ω^)「はっ……!?これは一体!?」
- 102 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:43:32 ID:NDEZfeuM0
一発の弾丸がもたらした連鎖は、空中の全ての弾丸に影響を及ぼした。
軌道が逸れた弾丸は、銃を撃ったギャング側に方向を変え、ギャングたちに向かっていったのだ。
( ゚ω゚)「えええぇぇぇ……」
ギャングたちは、皆その場に倒れていた。
( ・∀・)「もう二人、仲間にすると言っていたな。その仲間捜し、手伝うぜ」
( ;^ω^)「い、いいのかお!?」
- 104 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:48:26 ID:NDEZfeuM0
( ・∀・)「俺はもう一度、俺と、それから仲間の執念に賭けてみる」
( ^ω^)「や、やったお!一人目の仲間、ゲットだお!」
結局ブーンの主人公補正など何一つ無かったが、仲間をゲットすることはできた。
全ての重火器に愛された男、モララー。
弾丸の軌道を見極め、跳弾によって相手にはじき返すことができる、重火器のスペシャリストである。
しかし、この二人を待ち付ける過酷な試練を、二人はまだ知らない。
( ・∀・)「とりあえずもつ鍋に行くか。腹が減った」
( ^ω^)「やったお!ご当地メニューは外せないお!」
- 105 名前:名も無きAAのようです[sage] 投稿日:2012/06/25(月) 23:51:21 ID:NDEZfeuM0
修羅の国! 福岡激闘編完!
新章「闇の組織編」突入
次回 第五話「狂った科学の都」
三人目の仲間を集めるため、ブーンたちは筑波研究学園都市へ向かう。
近代科学の粋を集めて作られた研究都市で、凶悪なマッドサイエンティストが待ち受けていた!
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