(*゚∀゚)想いの重さのようです

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:48:15.29 ID:IGMG49Qj0

みんなみんなで、自己犠牲


3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:48:41.53 ID:IGMG49Qj0


(*゚∀゚)想いの重さのようです



4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:49:19.31 ID:IGMG49Qj0

今思えば、これが引き金だったのかもしれないし、
違ったのかもしれない
もっと前から、箍は外れていたのかもしれない

しかし
この悪戯はいけなかった
やっては、いけなかった



結果的に、自らの首を締め上げるだけの結果になってしまうことは目に見えていたのに


6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:50:47.76 ID:IGMG49Qj0

九月 某日


二ヶ月ぶりに、また異様なテンションで部屋の片づけをしていた

( ゚∀゚)「何やってんだ?」

( ゚д゚)「しぃが来るらしい」

( ・∀・)「それで片付け中……と」

( ゚д゚)「だからギコは呼ばなかったんだがな」

( ゚∀゚)「…………にしても」


(# ゚д゚)「何故俺達が手伝わねばならん」



8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:51:13.32 ID:IGMG49Qj0

兄達の使い方はしっかりと覚えていた
兄ミルナは、口では厳しいが放っておけないタイプなのだ
だから文句を言いながらも手伝ってくれる

そしてジョルジュは、兄によってその道連れになることが多い

モララーは、「しぃが来るんです!!」と満面の笑みを浮かべた後「でも部屋が……」と言ったところ、自ら手伝いを名乗り出てくれた


皆、お人良しなのだ
そんな兄と頼れる友達達に手伝ってもらいつつ、腐海に近い部屋は徐々に元の姿を見せ始めていた


( ゚д゚)「ジョルジュ 新しい袋取っ手くれ」

( ゚∀゚)「あいよっ」


10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:52:27.44 ID:IGMG49Qj0

( ・∀・)「ツーちゃん これいる?」

(*゚∀゚)「いりません!捨てちゃってください」

( ゚∀゚)「ちょっとゴミ出してくらぁ」

( ゚д゚)「貧血で倒れたらどうする 俺が行くからここどうにかしておけ」

( ゚∀゚)「わり」

(*゚∀゚)「あ、モララーさんそれこっちに投げてください!」

( ・∀・)「はーい」

作業は軽快かつ快調だった
全員もやしのような華奢さとはいえ、男手は心強い


12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:53:04.13 ID:IGMG49Qj0

―― 三時間後 ――

( ・∀・)「しゅ―――りょ―――!!!!」

( ゚∀゚)「おっつー」

( ゚д゚)「待て まだ埃が……」

(*゚∀゚)「みんなマジありがとー」

足の踏み場もない部屋は、ものの五時間程で見違えるように綺麗になっていた
これで明日しぃが来ても大丈夫だ

( ・∀・)「じゃあ俺達は出来るだけのことはやったから、あとは思いっきり楽しんでね
     相手を想ってあげること 忘れないで」

(*゚∀゚)「ありがとうございます!!」


13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:53:31.52 ID:IGMG49Qj0

( ゚∀゚)「じゃあな ギコの足止めは任せろーバリバリ」

( ゚д゚)「明後日学校に来られるといいな」

(*゚∀゚)「無理しないでくださいね!ありがとうございましたー!!」

兄と愉快な仲間たちは次々に部屋を出ていく
おそらく、そのまま兄の部屋に行ったのだろう
後でお礼の飲み物くらい差し入れるべきかもしれない

換気の為に開けた窓に手をつき、深呼吸をした

(*゚∀゚)「たーのしみだなぁ」

その手には、金色に光るものが握られていた

これから買い物に行き、明日出す菓子と飲み物を買いに行く
明日は何をして遊ぼうか
頭の中は、秋晴れの空と同じように晴れやかだった


14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:54:46.62 ID:IGMG49Qj0

翌日

(*゚ー゚)「おじゃまします!」

(*゚∀゚)「こっちこっち」

しぃが来て、意気揚々と上がり込ませる
二階の廊下で鉢合わせた兄は、部屋へと引っ込んだ
その奥に居たジョルジュが親指を立てている
そっと親指を立てて返し、しぃと部屋に入った


(*゚ー゚)「おじゃましまーす」

(*゚∀゚)「こんな部屋でごめんなー」

(*゚ー゚)「そんなことないよー ツーちゃんらしい部屋だね」


15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:55:44.79 ID:IGMG49Qj0

***

( ゚д゚)「…………」

( ∩д )「……」

(゚д゚ )「……

( ∩д∩)「…………」

( ゚∀゚)「落ち着けよwwwwwwww男連れ込んだわけでもあるめぇしwwww」

(# ゚д゚)「対して変わらんわっ!!」

( ゚∀゚)「安心しろよwwwwwwww取って食われるとしたらしぃの方だからwwww」

(; ゚д゚)「それもそれで」

( ゚∀゚)「心配性な奴だなぁ ほら指くれてやるから少し飲んで落ち着け」

( ゚д゚)「……」

( ゚∀゚)「食欲には素直だよなwwww」


16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:56:34.59 ID:IGMG49Qj0

***

(*゚∀゚)「しぃこれ好き?」

(*゚ー゚)「アルフォート!大好き」

(*゚∀゚)「へへ よかった」

菓子とジュースを用意し、小さなテーブルに置く

学校の事 友達の事
お互いの近況を、面白おかしく語り合った
内心で何かがとぐろを巻いていたのは、きっと気のせいだ

しぃは終始にこにこと語り続ける
この後何が起こるか わかっているから
少しでも時間を稼いでいるのはわかる
でもそれを潰すのもまた、楽しい


17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:57:47.88 ID:IGMG49Qj0

(*゚∀゚)「ところでさぁ、しぃちゃん」

しぃの肩がピクリと跳ねた
何かを感じたのだろう

(*゚∀゚)「そろそろ約束のプレゼント、してもいいかな?」

(*゚ー゚)「…………ぷ、プレゼントなんて、悪いじゃない。気にしなくていいんだよ?」

(*゚∀゚)「あたしがやりたいんだ」

(*゚ー゚)「私は……」

(*゚∀゚)「しぃが許可をくれたから、準備したんだよ?」

(*゚ー゚)「…………」

傍に置いておいた小さな箱を、しぃの前に差し出す
しぃは固まったまま、それを凝視している
しぃの顔は、心なしか赤い


18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 19:58:42.21 ID:IGMG49Qj0

(*゚∀゚)「しぃ」

箱を、開ける
しぃに、中身が見えるように
金色の小さな光が、しぃに見えるように


漆黒の箱
赤いシルクのリボン
箱の真ん中に鎮座する

金色に輝く、小さな鈴


(*;゚ー゚)「っ」

しぃの顔が、真っ赤になった


19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:00:10.09 ID:IGMG49Qj0

説明するには、一週間ほど話を戻すことになる

しぃは学校で、『猫』だと、よく言われると言っていた
だから、魔が差したツーはこう返す

『猫なら、鈴を付けなくちゃね』

そこからはしぃを説き伏せるメールを何通も繰り返し、遂にはしぃの意見を折ることに成功した
しぃは冗談だと思っただろう
冗談で済ます気など毛頭ない

色々な雑貨屋をまわり、たくさんの鈴の音色を確かめた
しぃに似合う音色を それだけを考え、たくさんの鈴の音を聞いてきた

これだ と思った鈴は小粒で、直径も1pくらいだ
金色の、傷一つない綺麗な鈴だった

今度は手芸屋へ行き、肌触りのいい、赤いリボンを購入した

リボンに鈴を通し、箱に納め、この日を待っていた


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:03:33.96 ID:IGMG49Qj0

我ながら、行き過ぎた行動だとも思う
だが目の前で真っ赤になっているしぃを見れただけでも、十分に価値があったと思う

(*゚∀゚)「自分でつける?」

(*////)「……やだ」

(*゚∀゚)「じゃあ、つけてあげるよ」

(*////)「…………」

しぃは逃げない
箱から取り出した鈴が、ちりり、と鳴った


しぃの後ろに回り込み、首元の髪をかき分けた
白いうなじに息を吞む
が、情動を抑えて、あくまでも紳士的な仕草で、その白い首にリボンをかけた
リボン縛りをすれば完成


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:06:29.51 ID:IGMG49Qj0

しぃの顔は見えないが、耳まで真っ赤だ
こんなしぃは初めて見る

(*゚∀゚)「…………しぃ、こっちを向いて」

しぃが、イヤイヤと首を振る
鈴が、ちりりとなる

(*゚∀゚)「かわいいよ しぃ こっちを向いて」

首を振る
鈴が鳴る


ぱきり
理性の壊れる 音がする
それはきっと、気のせい



25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[あるある] 投稿日:2011/10/04(火) 20:08:33.34 ID:IGMG49Qj0

(* ∀ )「可愛い可愛いあたしのしぃ」

うなじに、指を這わせた
気温で冷えた指が、しぃのリボンの際をなぞっていく

(* ∀ )「あたしのしぃ 可愛いしぃ」

(*////)「…………私、ツーちゃんのじゃ……」

(* ∀ )「あたしが鈴を付けたんだよ?猫のしぃ」

(* ∀ )「今は……今だけは……あたしの飼い猫だ」

リボンを越え、鎖骨に指を這わせる
しぃは震えている

拒絶は、ない


29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:12:14.09 ID:IGMG49Qj0

鎖骨を、肩側から真ん中に向けて指を滑らせていく
しぃの肌は、熱い

ちょうど真ん中まで行ったところで、鈴に触れた
肌の熱を吸収し、下半分が熱をもっている
指で弾くと、ちりりと鳴った


頭の芯がじんじんする
自分が壊れていくのがわかる
でももう 止められない


(* ∀ )「……可愛い可愛い…あたしのしぃ」

(*////)「…………」


(* ∀ )「…………おいしそう」

何かが、壊れた


30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:13:18.25 ID:IGMG49Qj0

赤いリボンと、白いうなじ
震える熱い肌と、聞こえてきそうなほどのしぃの鼓動
野性的な何かが、自分を突き動かす

しぃを後ろから抱えた
おいしそうなうなじが目の前にある

(*////)「っ!?」

(* ∀ )「しぃ……駄目だ ごめん」

しぃの匂いに包まれて
溢れ出す 長年秘めてきた想いと衝動

(* ∀ )「食べていい?」

狼のように  ―――――


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:15:05.23 ID:IGMG49Qj0

しぃを抱え上げ、ベッドに落とした
しぃは何が何だかわからず、しかし身の危険を感じて逃げようとしている
しぃの両手首を掴んで、ベルトでベッドの柵に固定した

(*////)「えっ」

(* ∀ )「ごめん しぃ」

赤いポンチョを剥ぎ、濃緑のワンピースに手をかけた


(* ∀゚)「『いただきます』」


まるで、赤ずきんのワンシーンのようだった




33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[「食事」の延長である…というか] 投稿日:2011/10/04(火) 20:17:15.47 ID:IGMG49Qj0

鎖骨に噛付いた

こり

骨の感触がする
鎖骨の上のラインを、鎖骨に沿って舐め上げる


ずっと見てきた
セーラー服から覗く 控えめな鎖骨
ずっと、食い付いてやりたいと思っていた
しぃに、食い付きたいと思っていた
しぃを、食い殺したいと思ったことすらあった
単なる妄想が今、目の前の現実に存在している

モララーの言葉が楔となって理性を繋ぎ止めようとするが、それも長くはもたないだろう

しぃの息遣いが、楔を粉々にしていくから


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[兄弟ですねぇ] 投稿日:2011/10/04(火) 20:19:10.76 ID:IGMG49Qj0

鈴を、舌先で弾く
ちりん 鳴る
また一つ、理性の欠片が剥がれていく

「やめて」の言葉は無意味だよ、しぃ
逆効果だ

少し服を引っ張って、白い肌を露出させる
胸までは出さない これは流儀

膨らみが始まる少し上に、食い付く
赤い痕が残るまで、吸い付く
鬱血の痕が残るまで、吸い付く
強く 強く  一日でも長く残るように

しぃはあたしのだ
誰にも渡すもんか


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:21:11.73 ID:IGMG49Qj0

釦を外し、少しずつ舐め下していく
いやいやと捩られる体が、艶めかしい

指を、舌を這わせていく
洩れる声が、理性を破壊し尽くす
声を殺しているのは、兄達がいるのを知っているからだろう
下に着ていたブラウスの釦を外すと、白い包みが見えた

ふんわりとした 白い包み
思わず、溜息を吐く 息が荒い
形のいい 控えめのそれに、包みを剥くことなく手で包み込んだ


しぃがいやいやと首を振る
やめて と泣き、喘ぐ
全てが自分を、壊していく


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:24:29.32 ID:IGMG49Qj0

嫌という口に、蓋をしてみたくなった
空いた手を口元へ持っていき、指を突っ込む
それを舌に絡めてやれば、しぃの口の中はすぐにくちゅくちゅと粘性を帯びた音が聞こえるようになった

指を噛むようなことはしないが、追い出そうと必死だ
口の端から唾液が漏れる
それが首を伝った時、しぃの背は、一度だけびくりと跳ねた

(* ∀ )(……エロい…)

卑猥なしぃが、愛おしかった

普段色気の欠片も見せないしぃが、たったこれだけのことで卑猥な体へと変化していっている
それを促進させてるのが自分だと思うと、それがまた快感だった

行為終われば、自分達の縁は切れるだろう
友達でなど、いてくれるはずがない
わかっている
わかっていても、止まらなかった


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:26:18.09 ID:IGMG49Qj0

ぴちゃり べちゃり

湿り気を帯びた音

弄る指先
這い回る舌先
口内を犯す 細い指先

少しの間をおいて、しぃの一際甲高い嬌声が上がった
動きを止めた二つの影は、暗闇の中でひとつに重なった


自分が、しぃに覆い被さった為だ

荒い呼吸に混じる、しぃのすすり泣く声

(*;- )「……なんで…どうしてぇ…………」


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:28:28.21 ID:IGMG49Qj0

どうして?そんなのわからない
狂おしいくらい愛しすぎていて、我慢できなかったんだ

友達ではいられなくなってしまうだろう
それも覚悟している

覚悟したうえで、彼女を犯した
手首をベッドに括りつけて、彼女を無理矢理犯した

何度も やめて と言われた

それでもやめなかった
やめられなかった

愛おしすぎて、狂ってしまっていたから

(*; ∀ ) (…………あたし、なにやってんだろ……)

自分はやはり、壊れていた


45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:30:21.72 ID:IGMG49Qj0

愛撫だけに留めた行為も、
しぃからすれば、友達だと思っていた者にやられたのだから衝撃だろう
ある種の裏切り行為だ

モララーは、同性の肉体のみを求めるのが同性愛じゃないと言った
相手の心を求めるのだと
相手の心を求めることは、同性愛も異性愛も同じだと

なら、今の自分は?

誰の体でもいいわけじゃない
しぃだからこそだ
しぃだからこそ…………………… ―――――

(* ∀ )(…………あぁ、あたしのは、愛なんかじゃない)


ただの、独占欲だ


46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:33:11.46 ID:IGMG49Qj0

***

( ゚∀゚)「…………」

廊下に、立っていた
嫌な予感がしたから、便所だといってミルナの部屋を抜け出した


ツーの部屋からは、すすり泣く声

( ゚∀゚)「…………やーっぱなぁ……」

こうなる気はしていた
モララーは庇護愛と言っていたが、所有欲や独占欲にしか聞こえなかった

ツーはおそらく、しぃを守りたいのではなく、しぃを独占したいのだろう
葛藤はあったはずだ
食事を始める前のミルナのように
しかし、何かで箍が外れたのだろう
血を含んだ直後のミルナのように


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:36:09.98 ID:IGMG49Qj0

やはり兄妹だ
変なところで似ているなと思った
ぎりぎりまでため込む辺りも、似ているのかもしてない

( ゚∀゚)「さーて……ギコからはどうやって隠すかなぁ」

しぃを送っていく役目を買って出よう
その間に話を聞こう
口裏を合わせよう
その後モララーの所へ行こう

後処理は、多い

ミルナに知られるのもまずい
ミルナもショックだろうし、性格的にしぃに直接謝罪でもしに行きそうだ
間が悪かったりすると最悪だから、心配の種は蒔かない方がいい

( ゚∀゚)「想い……ねぇ」

ミルナの為に生きると決めた自分には、もうどうでもいい感情だ


51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:38:22.39 ID:IGMG49Qj0

***

泣いているしぃを抱き締めた
しぃの肩は跳ね、拒絶しようとした

それを無視して抱き締め、ひたすら詫びた
いまさら詫びたところでどうにもならないことは解っている
それでも謝罪の言葉は止まらなかった

(*; ∀ )「しぃ、ごめん」

(*;−;)「……」

(*; ∀ )「こんなこと、するつもりじゃ……」

(*;−;)「…………ひくっ……どう、してぇ…………」

(*; ∀ )「っ…………あたし、しぃが好きだったんだ 友達としてじゃなくて」


52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:40:42.01 ID:IGMG49Qj0

(*;−;)「…………私は、友達だと……おもっ…………」

そう、しぃは友達として接していた   だから

(*; ∀ )「だから、ごめん 裏切りに近いよな こんなの  でも、その…………つい…………」

(*;−;)「つい?つい なの?」

(*;゚∀゚)「あ、そういう意味じゃっ……」

(*;−;)「ツーちゃんは、友達だと……思ってたのに…………」

(* ∀ )「…!…………………」

しぃの涙は止まらない
自分の罪悪感も、また然り

(* ∀ )「…………本当に、ごめん」

抱き締めていた腕を緩め、しぃを解放する
そのまま距離をとった


54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:43:04.17 ID:IGMG49Qj0

(* ∀ )「…………最低だ あたし  こんなあたしが、しぃの側にいていいはずがない……」

(*;−;)「……?」

(* ∀ )「ごめんな しぃ ……もう、こんなことしないから…………でも傍に居たら、またいつ自分に負けるかわからない……」

ふらり
立ち上がり、ベッドから離れた

(*;−;)「……?」

(* ∀ )「…………もう傍になんか、いられない
     あとは、兄貴達に任せるから…………適当に言いつくろって、帰ってくれ」

ドアノブに手をかけた


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:46:25.96 ID:IGMG49Qj0

(* ∀ )「…………頭、冷やしてくる     ばいばい しぃ」

振り返らずに、深呼吸をした
唇を噛み締めて、感情を殺した
あと一言

これで、最後だ

(*;∀;)「……もう会わない  さよなら しぃ……!!」


そのまま部屋を飛び出した

部屋からはしぃの声がする
しかし止まらない
止まれない

家から飛び出し、近くの公園まで走った


57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:48:52.54 ID:IGMG49Qj0

***

部屋に戻ってきてからしばらく
バン!と乱暴にドアの開く音と階段を駆け下りる音がした

(; ゚д゚)「なんだっ!?」

( ゚∀゚)「あーぁ……」

敏感に反応したのは、さっきからそわそわしていたミルナだ

(; ゚д゚)「お前状況把握できてるのか!?」

( ゚∀゚)「予想はしてたからなぁ……部屋に残ってるのは、多分しぃだろ」

(; ゚д゚)「ツーが飛び出す理由がわからんが……」

ミルナが、ベッドから腰を上げた
薄手の上着に袖を通し、もう一枚上着を抱えた


59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:51:11.18 ID:IGMG49Qj0

( ゚д゚)「すまん しぃの方を頼めるか?」

( ゚∀゚)「勿論 早く捕まえてこい」

妹馬鹿を送り出した後、少し思案してから立ち上がった
ツーの部屋のドアは閉まっている

いきなり開けない方がいいだろう

二度 ノックをして声をかけた

( ゚∀゚)「しぃ?いたら返事しろー」

部屋から、返事はない
代わりに衣擦れの音がした

生々しいな と思いつつ、反応を待つ


60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:52:41.84 ID:IGMG49Qj0

「……は…い」

少しして返ってきた声は弱弱しかった

( ゚∀゚)「…………入っていいか?」

「……はい…………」

やはり声は小さかった

ドアノブを捻り、ゆっくりとあける
部屋の真ん中に、しぃはいた

俯いて目元は見えないが、その視線の先にはリボンに通された鈴があった
 _
( ゚∀゚)(あー……やっぱり……)


全てを察して、しぃの隣にしゃがみ込んだ


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:53:19.09 ID:IGMG49Qj0

しぃはピクリとも反応しない
しばし考えてから、くしゃりと頭を撫でた
びくりと肩が跳ねたが、ぞれすら有耶無耶にするように、暫くくしゃくしゃと撫で続けた
 _
( ゚∀゚)「…………ツーの事、嫌いになったか?」

(   )「…………」

しぃは答えない
俯いて、小さく肩を震わせている

無言の間を裂いたのは、鈴の音だった
しぃが、鈴を拾い上げた

( ゚∀゚)「…………」

(*;−;)「…………ツーちゃん……私のことが好きだったんだって」

( ゚∀゚)「……うん」


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:53:55.56 ID:IGMG49Qj0

(*;−;)「私も……ツーちゃんが好きで……でもそれは、友達としてで……」

( ゚∀゚)「うん、うん」

(*;−;)「でもこんなこと…………こわ、かった……」

( ゚∀゚)「……じゃあもう、ツーは……」

(*;−;)「嫌いに、なれないの」

( ゚∀゚)「…………」

鼻を啜る音がする
涙がぽたりと落ちてリボンを濡らす

(*;−;)「…………こわかった……だけど、あれも……ツーちゃん……なんですよね?
      …………恐い……今もまだ、震えが止まらない……あんなことされるなんて、思ってなかったから」

( ゚∀゚)「…………」


66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:54:40.03 ID:IGMG49Qj0

(*;−;)「…でも…………それでも、ツーちゃんは……とも、だち……でっ……」

鼻を啜る音が、嗚咽に変わる
撫でまわして掻き乱した髪を、今度はそっと梳いて整えてやる

(*;−;)「…でも、こわい……わかんない……!!わかんないよ!!」

しぃは鈴を握り締め、拳で目元を隠した

(* − )「ツーちゃん!!……ツーちゃぁん……伝わらないよ…わかんないよ……」

(* − )「私は、どうすればいいの!!!?」

悲痛な叫びに答えられるほど、自分は器用ではなかった

ただその小さな頭を撫でてやる事しか、出来なかった


67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:55:44.77 ID:IGMG49Qj0

***

( ゚д゚)「ツー!!」

追った先は公園
ツーは塞ぎ込むとき、いつもそこへ行く
公園の、ドーム状の遊具の中で膝を抱えている
覗きこんでみれば、やはりそこにいた
ツーは膝を抱えて俯いている 額が、膝についていた

自分の体には小さすぎる穴に無理矢理体を捻じ込み、しゃがんだ体勢のままツーに寄った
中は広く薄暗く
自分とツーと、頑張ればもう一人くらいは入れそうな大きさだ
ツーの横に腰を落ち着け、持ってきた上着をかけてから息をついた

( ゚д゚)「……驚くから飛び出すのはやめてくれ」

(   )「…………」

反応はない


68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:56:12.33 ID:IGMG49Qj0

肩を抱き寄せてやると、ツーの頭はころりと胸に納まった

(*;∀;)「…………あに、きぃ…………」

蚊が鳴くような、小さな声
肘で抱き寄せたまま空いた手で頭を撫でてやると、堰を切ったように泣き出した

(*;∀;)「うぅ…………あぁ、あぁぁ……」

( ゚д゚)「……」

(*;∀;)「兄貴……あたし、…………最低なことした」

( ゚д゚)「ん?」

(*;∀;)「…………あたし……しぃに…しぃを……」

( ゚д゚)「…………」


69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:57:03.38 ID:IGMG49Qj0

(*;∀;)「最悪だ……最低だ…………」

身体ごと傾いていたツーが、抱えた膝を更にぎゅうと抱えた

(* ∀ )「……………………もう、友達なんかじゃいられない……」

呟かれた言葉は悲愴に満ちている
状況が全く理解できていない自分には、なにもしてやれることはなかった
聞くか迷ったが、聞いていい話題ではない気もする
やはり黙って、ただ頭を撫でてやる事しか出来なかった

何もできない自分が悔やまれる

( ゚д゚)(ジョルジュなら……)


ジョルジュなら、何と声をかけてやるのだろうか


71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:58:16.66 ID:IGMG49Qj0

***

翌日から、しぃとの連絡は全て断った


メールは無視し、電話にも出なかった

ブログは更新を止め、しぃをツイッターのフォローから外した


状況を知ったモララーは片手で額を覆い、兄は俯いたまま顔を上げなかった
ジョルジュはなんとなくこうなることを予想していたらしく、
シスコンであるギコに、二人の落ち込みようも含めて全て言い訳を用意して日々を過ごした

(*゚∀゚)(……これで、いいんだ)

自分が近付かなければしぃは傷付かない
傷付けない為には、自分はしぃから離れた方がいい
自分でまいた種だ  自分から、けじめはつけなければならない


73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:59:11.59 ID:IGMG49Qj0

――――― わかってはいるのに



(* ∀ )(…………しぃ……)


連絡方法を断てば断つほど、胸の奥は鷲摑みにされたように苦しくなっていく
しぃの近況を知る術を消していく度に、胸の奥にぽっかりと穴が開いたような虚無感が襲ってくる


そして
自分の知らない所でしぃが何をしているのか 誰と話しているのか 笑い合っているのか

憎悪に近い嫉妬心が心の中を蹂躙していく
自分でも嫌悪する程の醜い独占欲が、日に日に肥大していく
不快になるほどの嫉妬心が、自分の身を焼いていく

それも自分で選んだ道なのだと 自分に言い聞かせるのが精いっぱいだった


74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 20:59:48.54 ID:IGMG49Qj0

***

(,,゚Д゚)「…………」

最近、妹の様子がおかしい
何度も携帯を開いては、かくりと肩と頭を落とし、塞ぎ込む
部屋に閉じこもる時間が増え、時にはすすり泣く音が聞こえる
何度か聞き出そうとしてみたが、一向に口は割らない


友達の様子もおかしい
ミルナは憔悴し、モララーも浮かない顔をしている
話を聞いても、最近疲れているんだ としか返って来ない
話題を変えるのも兼ねて妹について相談すると、モララーは苦笑いを零し、ミルナは更に沈んでいった

尚更意味が解らなくてジョルジュに話を聞いてみると
ミルナは最近片想いの相手に振られたから女の話題は一切控えろと
モララーは自分達より一足早く受験勉強を始めたのだと それぞれ説明していた


75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 21:00:13.66 ID:IGMG49Qj0

ミルナがそんな淡い想いを抱いていた……というか、そんなふうに見えたことはなかったし、
モララーも、あの落ち込み方は勉強疲れではないように思える


九月とはいえ、まだ暑い

あちー と言ってカーディガンごと制服の袖をめくっては、慌てて戻すジョルジュを何度も見ている
その時何度か、傷を見たことがある

真一文字に引かれた、黒い線
他にも、消えきらなかったのであろう蚯蚓腫れも何本もあった
あれが切り傷なら、相当深く切ったのだろう
縫合しないで、傷口に溜まった血が固まっている そんな印象を受けた

これも、もしジョルジュが何かに悩んでいるのなら聞いてやった方がいいのかもしれない が、
本人がそれを望んでいなかった場合、ただ傷を抉っただけになる
それは避けた方がいい   故に、関われずにいる


76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2011/10/04(火) 21:01:27.67 ID:IGMG49Qj0

簡単に言えば、全てにおいて蚊帳の外なのだ
疎外感を感じる

ひとり 何かから取り残されている
それが何なのかはわからない

しかし、不快だった
寂しかった

(,,゚Д゚)(俺…………そんなに頼りねぇのかな…)

皆 何かを抱えている
しかし誰も、それを語ろうとはしない

いつも隣に居て元気をくれるモララーの笑顔に、影が差している
少し痩せたような気もする
全信頼を置いてきたモララーすら、自分に隠し事をしている
それが一番 寂しかった


78 名前: ◆zynqho4iRI 投稿日:2011/10/04(火) 21:01:49.84 ID:IGMG49Qj0

(*゚∀゚)想いの重さのようです  第四話 了



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