('A`)ネクラ王子と( ・∀・)チャラ王子のようです

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:26:41.52 ID:Px+9c2dy0

3.チャラ男


 ドラスタ王国から、西にいき山を3つこえたところに、マジェスティ帝国があります。
 隅々まで整備が行き届いた、オサレな国でした。



( ・∀・)「魔女を討伐するため、世界の果てに行こうと思っております」



 マジェスティ帝国の王子、モララーは、彼の両親に膝をつき、こう言いました。

 彼の両親、つまり帝王とその妻は、半ば予想していたらしく、あまり驚く様子もありません。
 モララー王子の決心をしかと受け止め、帝王は大きく頷きました。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:29:46.83 ID:Px+9c2dy0

 しかし家来や兵士、召使いに執事、メイドたちは大あわて。


 「王子! 私を家来に連れて行ってください! 命に代えても王子をお守りします!」


( ・∀・)「足手まといだ。一人でいい」


 「王子! 古今東西の医薬品をお集めしました! どうかお役立てに」


( ・∀・)「荷物が多くなる。常備薬だけでいい」


 「王子! 危険過ぎます! どうしても行くというのなら、私を倒してからブボバ!」


( ・∀・)「どいてくれ」


 「王子! 抱いて!」


( ・∀・)「あとで部屋に来なさい」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:32:44.30 ID:Px+9c2dy0

 「王子!」   「王子!」
    「王子!」


(#・∀・)「放っておいてくれ!」



 王子はあまりの煩わしさに、城中に響き渡るような怒声を張り上げました。



( ・∀・)「伝承の魔女など、恐るるに足らん。この完璧を体現した男の前ではな」


 彼は小さい頃から、なにをやっても一番でした。
 周りが彼に気を遣っているからでもなく、彼は様々な分野で、天性の能力を見せていました。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:37:07.46 ID:Px+9c2dy0

 それは彼の絶対の自信になっていました。

 then、彼はさらなる完璧を求め、ツンデレ王女と結婚しようと決めました。

 マジェスティ帝国とドラスタ王国、この二つが繋がったならば、他の国は一切手が出せません。
 それが国のため、王である父親のため、そして未来の王、自分のためだと思っていました。



 「お、王子…」


(#・∀・)「だから放っておけと言っただろう! まだわからないのか!」

川;д川「あっ…ごめんなさい…!」

( ・∀・)「貞子か。どうした?」

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:42:51.14 ID:Px+9c2dy0

 貞子はただのモララーの付き人メイドですが、旧知の仲、少し色気を含めると幼なじみです。
 モララーが気の許せる、数少ない相手でもあります。


川д川「お話、聞きました。魔女の討伐にいくと…」

( ・∀・)「そうだ」

川д川「ご出発は……いつ…」

( ・∀・)「明日、日が昇るまえに出発するつもりだ」

川;д川「そうですか……」


 貞子は胸の前で手を組み、もじもじとして、なにも喋りません。
 彼女はいつもこうでした。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:46:47.66 ID:Px+9c2dy0

( ・∀・)「おまえには、小さい頃から世話になった」

川;д川「そんなっ……もったいないおと…お言葉ばば…」

( ・∀・)「いい。普通に話せ。誰も聞いておらん」


 ここはモララーの部屋です。

 しかし誰も聞いておらんというのは、モララーの油断でした。
 貞子が部屋に入っていくのを見ていた帝王、大臣、噂好きのメイド、エロシーンを期待している兵士が
 部屋の外で耳を立てていました。


川д川「モララーちゃん…大丈夫なの?」

( ・∀・)「なにが?」

川д川「だって…魔女って、得体が知れないし…」

( ・∀・)「大丈夫に決まってる。なにせ、俺だからな。はんっ」

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/10/19(火) 22:50:30.67 ID:Px+9c2dy0

川*д川「頼もしい…」

( ・∀・)「いずれ俺が国を治めるんだ。
      魔女くらい、片手、片足、片目で倒せるくらいにならんといかん」

川д川「そう…」

( ・∀・)「どうした、具合が悪いのか」

川д川「そうじゃないの…そうじゃないんだけど…」

( ・∀・)「だけど、なんだ?」

川д川「やだな…って…思って…」

( ・∀・)「なにが?」




   「―――自分」



 外にいた兵士がくしゃみをし、帝王と大臣にどつかれた。
 彼らはその後、全員モララーにどつかれた。


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