('A`)巡り巡って非日常のようです

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/29(木) 23:38:28.76 ID:Niciwha5O
 
 
昔々のそのまた昔、あるところに互いに愛し合う一組の若い男女が居ました。
ある日二人は結婚の約束をしたのです。
 
「デレ、俺と結婚して下さいませんか」
 
「では五千の夜を越えた頃、まだ愛していたならば私を迎えに来てください」
 
そしてその夜、女は屋敷のベランダから転落死してしまいます。
男は嘆き悲しみ、その後女の後を追ったと言われます。
これは、そんな二人の話。巡り巡って再会した二人の男女の話なのです。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/29(木) 23:41:19.90 ID:Niciwha5O
ここはとある中学校の騒がしい一教室。そこに黒髪の冴えない少年が一人。
 
('A`)「・・・・ああ、暇だ」
 
そう、少年は退屈だった。非日常が起こるのを待っていた。
とあるライトノベルのように宇宙人や未来人や超能力者の様な存在が来るのを待っていたのだ。
 
まあ、起こることが無いのは分かっていたのだが・・・。
 
('A`)「それでも、期待はしちまうよなあ」
 
呟くその言葉に反応するものは誰もいない。
それもそうだ、少年はクラス中から無視されているのだから。
だが少年は気にしていなかった。
うるさい奴らに絡まれるよりはマシだと、そう思っていたからだ。
そして何より、周りの日常達は視界から消しているのだから。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/29(木) 23:43:12.60 ID:Niciwha5O
そんな事を考えている間に始業のチャイムが鳴り、担任が教卓に着く。
 
「はい皆静かに。今日は転校生を紹介する」
 
転校生という言葉にざわざわとざわめきたつクラスの中で少年だけは冷静だった。
どうせその転校生も自分を日常から連れ出してはくれない、そう考えていたのである。
 
「入って来なさい」
 
担任のその言葉に、教室の外から女の声で返事が聞こえてくる。
 
「はい」
 
そしてすぐさま、前方のドアが開き少女が姿を現した。
 
川 ゚ 々゚)「高岡くるうです。宜しく」
 
大人びた風貌に、涼しげな声。それらは男子たちを色めき立たせる。
だが少年はそれをも日常として分類する。そして少女の姿を視界から消したのであった。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/29(木) 23:45:30.46 ID:Niciwha5O
「じゃあ津出の隣の席な」
 
「はい」
 
少女は担任とそんな会話を交わし少年の隣へと歩く。
クラスの男共は幸運な少年を忌々しく見つめているだろう。少年には興味の無いことなのだが。
 
「ああデレ、俺は再会のこの日を今か今かと待っておりました」
 
席についた途端、少女はそんな事を言う。
何かの間違いかと思ったのだが、周りにデレなどという者もいない。
少年は仕方なく少女に返事を返した。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/29(木) 23:46:42.26 ID:Niciwha5O
('A`)「デレ・・・?」
 
日常だと認識した少女は優しい笑みを浮かべ、少年に軽くキスをしたあとこう言う。
 
川 ゚ 々゚)「五千の夜を越え、今迎えに参りました」
 
オメデトウ。
この度、少女――高岡くるうは少年の中で非日常に分類されたのであった。
 
 
プロローグ 「とある少年と非日常」


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