( ^ω^)達の中だるみな一年のようです

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:34:31.98 ID:2481Svl/0
第十二話「二点の兄弟」

本日の講義は全て終了し、生徒達はそれぞれ自分の目的地に向かって教室を後にしてゆく。
ブーンは終了時の混みあいが嫌なので少し席に座ったままボーっと過ごし、ほとんど人が居なくなるころにようやく立ち上がるのだが、
彼のそんな性質を知っている男は授業が終わった途端に彼の座る席へと向かっていた。
  _
( ゚∀゚)「最近ニュー速がエライことになってるらしいぜ」

ブーンの前の机に腰掛けるジョルジュ。

( ^ω^)「へ?なんでだお?」
  _
( ゚∀゚)「この前のアレのせいだよ」

この前のアレ、という回りくどい言い方。要件を簡潔に伝えたいなら指示語など一切使わなければいいのだ。
しかし、そんな風情の無いことを言っていても単なる『空気が読めない奴』という認識を受け、それはあながち間違ってはいない。
その回りくどさゆえに、日本語は美しいのだ。しかし言葉の美しさを誰かが証明できるかどうかは知らないし、興味もまるで持てない。

( ^ω^)「この前の、っていうとビコーズとゼアフォーかお?」
  _
( ゚∀゚)「そうだ。あいつらが潰されたことで学園都市内の暴行やら軽犯罪が増えてるらしい。『守護神』の恐怖がなくなったから暴れてんのかってな」

( ^ω^)「ここでそんなことしててただで済むと思ってるのかお?」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:36:30.04 ID:2481Svl/0
すべての学園都市は基本的に国が直接主導することで回っている。
最終的にはどの学園都市の生徒も基本的に国家公務員、もしくはそれに準ずる機関の構成員として配属される運命にあるのだから当然である。
セキュリティについては、ここ30年ほどで学園自体が増えてしまい、分配された予算が潤沢とはいえないのでそれほど万全とはいえない。
しかし、公的ではない例の自称警備員二人を度外視しても、ここニュー速にあてられている都市警備隊はそれほど無能なものでもない。
ブーンらのような能力持ちは少なからずいるであろうし、一般隊員も国軍での勤務を経験している者が多数いるという。
  _
( ゚∀゚)「さあな。スリルを楽しんでるんじゃねえか?」

( ^ω^)「スリルって……まあいいお。それで、何がエライことなんだお?」

ブーンがこのような質問をするのは、ジョルジュが彼の性格を理解していることを知っているからだ。
たとえ学園都市内で犯罪が多発していようが、ブーンは自分が関わっていない以上そんなことは関係ないと考える人間なのである。
  _
( ゚∀゚)「その軽犯罪のほとんどは、学園生がやってるらしい」

( ^ω^)「ふーん」
  _
( ゚∀゚)「なっ!思ったより反応薄いな!それに被害者にも学園生が多いんだぜ?」

彼はブーンにどのような期待をしていたのだろうか。
勝手に期待を持たれていた彼は心底どうでもいいというアピールなのか、教材の入る鞄をいかにも重たそうに肩に掛けた。

( ^ω^)「別に、シャキンがその軽犯罪ブームに乗ってモテ無さ過ぎたが故のレイプに走った、とかそういう話題なら喜んで食い付いたお」
  _
( ゚∀゚)「そういえばあいつに今日会わなかったが、まだデレちゃんと進展ないみたいだな。この前ちょっとあったんだろ?」

( ^ω^)「僕もよく知らないお。なんかモララーが言ってた気がするお」
  _
( ゚∀゚)「何考えてんだか。チャンスだろ」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:38:27.69 ID:2481Svl/0
( ^ω^)「とにかく帰るお。もう人いないお」

二人が世間話をしているうちに他の生徒は誰一人としていなくなっていた。
この場所は閑散としているが、階下には未だ生徒が居るのだろう、多様な声が反響しあい雑音となって聞こえてくる。
  _
( ゚∀゚)「そうだな。あ、ツンのバイトはあと一週間で終わるんだったか?」

( ^ω^)「あと四日だお。今のところあれから何事も無くて何よりだお」
  _
( ゚∀゚)「いやー、お前も大変だな。毎回夜に出勤とは」

( ^ω^)「仲の良い年下の女の子は大事にしないといけないんだお。罪滅ぼしだお」

その言葉が本心なのか単なる皮肉なのか、聞いていたジョルジュにははっきりとわからなかった。
それでもブーンがわざわざジョルジュに対してこの発言をしたということは、彼の心境に以前とは違う何らかの変化があった、と読み取った。
  _
( ゚∀゚)「おい……」

( ^ω^)「忘れることができないのは事実だお」
  _
( ゚∀゚)「ったく。………ブーン、罪滅ぼしって言ったよな?だったらお前にもう一度言っておく」

( ^ω^)「もう一度?なんだお?」
  _
( ゚∀゚)「お前は悪くねえ」

それから二人は寮への帰路、一度も口を開かなかった。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:40:30.54 ID:2481Svl/0
(,,゚Д゚)「おう、遅かったな」

二人を出迎えたのはギコだ。しかし出迎えには向かない、何やら神妙な顔をしている。
  _
( ゚∀゚)「どうした?おっかねー顔して」

(,,゚Д゚)「シャキンが襲われた」

( ^ω^)「は?」

呆けた返事が飛び出すのも当然である。
つい先ほど噂した彼と、つい先ほど話題にした異変がうまい具合に混ざり合ってしまったと思わされるような内容だ。
  _
( ゚∀゚)「誰にだ?つってももう見当はつくけど」

(,,゚Д゚)「おそらくは学園生、ということだ。発見者が一般人だからよくわからんらしい。この街に居るならしっかりしろってんだ」

( ^ω^)「ん?シャキンは意識ないのかお?」

青筋を立てて文句を吐くギコ。そこでブーンは疑問をもった。
おそらく、発見者、というからには被害者、つまりシャキンの口からの情報が少ないことを示している。
単に後ろから闇討ちされたならまた話は変わってくるが。

(,,゚Д゚)「無い。昨日の夜からずっとらしい」
  _
( ゚∀゚)「厄介なことになってんな。因果応報ってやつか」

( ^ω^)「それは……言えてるかもしれないお」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:42:53.18 ID:2481Svl/0
ジョルジュは特に深い意味を込めていったわけではなく、客観的にこの状況に合致しそうな言葉を選んだだけだ。
それでもゼアフォーを全力で叩いたブーンにとっては、その言葉は軽く流せるようなものではなかった。
  _
( ゚∀゚)「別に皮肉で言ったわけじゃねーよ」

( ^ω^)「わかってるお。でも事実は事実だお。適当に受け止めておくお」

(,,゚Д゚)「そんなもんどう考えても襲うやつが悪いだろ。見つけたら埋めてやる」

言い聞かせるようにおっしゃるギコ。本気でそのつもりのようだ。

( ^ω^)「捕まえる気かお」

(,,゚Д゚)「殺す。班員やられて黙ってられるか」
  _
( ゚∀゚)「しゃーねーな、俺も手伝ってやるよ」

( ´ω`)「はあ……僕も手伝うお。友達に殺人はさせられないお」

溜め息をつきながらも結局手伝うなどと抜かしてしまうのは、やはり彼がお人よしの性質を持ち合わせているからであろうか、

( ^ω^)「……んなことするアホと戦ってみたいし」

はたまた戦闘狂の素質を持っているからであろうか。
  _
( ゚∀゚)「捕まえるのはノリノリな俺だけどよ、手掛かりとかあんのか?」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:45:02.13 ID:2481Svl/0
(,,゚Д゚)「ない。夜、一人、眉毛。だな、ヒントは」

( ^ω^)「夜に一人で歩き眉毛ってれば出会うんじゃないかお」
  _
( ゚∀゚)「ハードル高いな……歩き眉毛ってなんだよ……」

( ^ω^)「もうちょっと人数誘っていい距離保ってみんなで歩きまわればそそいのそいじゃないかお?」

(,,゚Д゚)「目撃者候補がそこら中に居たら手出す訳無いだろ?観測されないレベルの少人数じゃねえと」

( ^ω^)「んー、危険も増えるお。僕はいいけど」
  _
( ゚∀゚)「俺もいいぞ」

(,,゚Д゚)「俺もだ。もし出くわしたら御法度を使うぜ」

( ^ω^)「いや、御法度は絶対ダメだお。冗談抜きで相手が死ぬお」

(,,゚Д゚)「ああ?それだけムカついてんだよ」
  _
( ゚∀゚)「せめてマジで危なかったらにしろよ?で、どうする?さっそく今日から張るか?」

( ^ω^)「昨日の今日でやるとは思えないお。っていうか今日僕ツンだお」

(,,゚Д゚)「それもそうかもな。……まあいい、明日から張ろうぜ」

三人はそれから、実際に来られた場合の対応などを適当に話し合い、それぞれ部屋に戻っていった。
ブーンは夏を目前に控えた寒空の下に出て行った。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:47:10.36 ID:2481Svl/0
ミセ*゚ー゚)リ「え?シャキン君が?」

( ^ω^)「そうだお。大変なんだお」

翌日の昼。いつも通り騒がしい学食で食事をつつく学生たち。学園都市のちょっとした異常にはあまり興味もないのか、周りの生徒はそれを話題にすることもない。
やはり直接的な事件が発生しなければそれほど危機感も持てないのだろう。まさしく昨日のブーンと同じ状態である。

ミセ*゚ー゚)リ「じゃあ仇討ちだね!」

( ^ω^)「死んでないお。それにダメだお、危ないお。静観するしかないお」

理性的に返す彼であるが、そんな彼こそが今日から仇討ちにかかろうとしている。
おそらく獲物を奪われたくないのだ。ブーンは変態であるのだから。

ミセ*゚ー゚)リ「え?でもじょる君は今頷いたよ?」

指差すミセリ。はっとした顔をするアホ。
ブーンがせっかく、落ち着いたワタシ、を演出したのにもかかわらず一発で台無しに。
ジョルジュが仇討ちをするというのなら、当然ブーンもその中に含まれてしまうのだから。

( ^ω^)「おい」
  _
( ゚∀゚)「すまぬ……」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしも行くよ!」

( ^ω^)「ダメだお。ミセリは確かに強いけど、まだどんな相手かわからないお」

ミセ#゚ー゚)リ「関係無い!友達が襲われたんだよ!」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:49:21.20 ID:2481Svl/0
微妙に語気を荒げる彼女。過去の出来事が少なくとも引っ掛かっているのだろう。
しかしながら相手の人数もわかっていない以上、彼女が不逞の輩の慰み者になる可能性も否定できないのだ。

( ^ω^)「絶対にダメだお。万が一のことがあっても、僕達はせいぜい半殺しにされるだけで済むお。でもミセリはきっとそうはいかないお」

相手がミセリであるため、その危険性をストレートに伝えてみる。
彼女はそれでも聞き分けが悪い残念な子なのだ。

ミセ*゚ー゚)リ「そうなったらブーンが助けてよ!」

( ^ω^)「は?」

逆に心の声をストレートに吐き出す結果に終わった。

ミセ*゚ー゚)リ「だから!絶対!行くからね!」

言いきった彼女は大盛りだったスパゲティの皿を持ち上げ、勢いよく立ちあがる。
そして早足で容器を返しに行くと、ブーンらの方を見ずに食堂を出ていってしまった。

(;^ω^)「面倒なことにならなければいいお……」
  _
(;゚∀゚)「なるだろ、確実に。ピンチフラグじゃねーのかこれ……」

呟く二人。肩を落とした彼らも空になった容器を片付けに行く。

ミセ*゚ー゚)リ「ぐへへ、わたしの新武装試そーっと!」

先程怒ったように飛び出していった彼女の顔は、なかなかに猟奇的な色を見せていた。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:51:25.49 ID:2481Svl/0
「……今日、狩らね?」

「…………マズイだろ……確かに楽しかったが……」

「じゃあ、行くってことでおk?」

「…………ああ」

「あの三人はどうする?」

「一応呼んでおくか。今日は一人一匹!」

「えらく多いな。なら最低でも五人は犠牲者が出る」

「楽しいだろ?」

「楽しいだろうな。だが理由もなしにそんなことやっていいものか……」

「俺ら『二天』の力を知らしめてやるぜっ!」

「いや、大勢にバレるのは勘弁な」

もう誰も残っていない食堂で話す二人。
食事を次の始業に間に合わせるつもりは無いらしい。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:53:32.89 ID:2481Svl/0
(,,゚Д゚)「おい……」
  _
( ゚∀゚)「いや、すまん。俺のせいだ」

その夜、男子寮前の三人は目の前の浮かれきった少女に目を向けていた。
彼女は黒いジャージに身を包み、おもちゃのような長い銃と黒い箱を腰に携え、両手にはメリケンサックを嵌めてニヤニヤしている。

ミセ*゚ー゚)リ「ちゃーっす!ぶっころぶっころ!」

(,,゚Д゚)「ぶっころじゃねえよミセリ。なんで来たんだ」

ミセ*゚ー゚)リ「シャキン君の為に!捕まえて土下座させるんだ!」

(,,゚Д゚)「そんなもんロマネスクに任せろ。帰れ」

ミセ*゚ー゚)リ「ブーンが守ってくれるからだいじょぶ!」

( ^ω^)「マジで?いや無理」

ミセ*゚ー゚)リ「ブーンはわたしが出撃する口実になってればいいの!守ると言え!言えぇぇ!」

( ^ω^)「はいはい守る守る守るおー」

ブーンにハネた頭をグリグリ押し付ける勝手な少女は帰る様子を微塵も見せない。
ギコはもう諦めたのか、ジョルジュの腹を殴った。

(,,゚Д゚)「……まあいい。ブーンが負ける相手だったら逃げろよ。お前ら同レベルだろ」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:55:55.85 ID:2481Svl/0
( ^ω^)「え、僕は単独行動がいいお」

(,,゚Д゚)「馬鹿言うな。ミセリにそれはさせられない」
  _
( ゚∀゚)「悪いなブーン。じゃじゃ馬は任せたぜ!」

( ^ω^)「……」

爽やかな声で言うジョルジュ。
ブーンは久しぶりに彼を殴り飛ばしたいと思った。
  _
(  ∀ )「ばぁっ!!」

否。殴り飛ばした。

(,,゚Д゚)「俺は南側。シャキンがやられた公園に行く。お前ら適当に歩きまわってろ」

イライラした様子でさっさと行ってしまうギコ。
続くようにブーン達も移動を開始することにした。

ミセ*゚ー゚)リ「ぶんぶん行こ!じょる君!私達東側だから!」

ぶんぶんの腕を掴むと途端に駆けだしたミセリ。
残されたジョルジュは体を回しながらゆっくりと歩き出した。
寮などの学園の施設は西側にあるため、彼は必然的に北、繁華街の方へ向かうことになる。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:57:34.95 ID:2481Svl/0
「俺達は東側で狩りをする。おまえらは適当なやつでも引っ掛けろ」

( ><)「わかったんです!!」

( <●><●>)「一人一匹ですか……ふふふ、単独で行きます」

(*‘ω‘ *)「じゃあワタシもそうするっぽ!先にやった奴が勝ちだっぽ!」

「都市側の警戒も少し強くなっているようだ。気をつけろよ」

(*‘ω‘ *)「わかったっぽ!」

エネルギッシュな三人は思い思いの方向に駆けていった。
そして残るのは二人。
片手に鉄の塊である棍棒を持ち肩に乗せ、もう一方に警棒のような細い棒。
彼らは鏡のように立ち並ぶ。


( ´_ゝ`)「強い奴が来ればいい」


(´<_` )「ああ、強い奴を倒したいな」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 18:59:42.60 ID:2481Svl/0
都市圏南側を歩くギコ。こちら側は店舗の類があまり入っておらず、薄暗い道が長く続く。
観光地として機能するこの都市の象徴である、ニュー速学園開校10周年記念碑が立てられているのもこのあたりだ。
そのさびれた記念碑が立てられているのはニュー速国立記念公園。さすがにこの時間になると人もほとんど来ない。
シャキンが何をしていたかは知らないが、人を襲うにはもってこい、といえばその通りである。

(,,゚Д゚)「……」

公園に入り、警戒を強める。
シャキンが襲われたのはここの入り口付近だという目撃者の情報を頼りにその周辺をぐるぐる回り、相手の出現を待った。
さすがにここで事件があったのは近隣の人間ならば知っているのだろう。人の気配は全くしない。

( <●><●>)「誰かはここに来ると考えはしましたが、まさか居るとは」

(,,゚Д゚)「!」

まだ10分程度しか回っていなかったのだが、入り口の方から男の声。
ギコは当然そちらを向き、薄暗い中睨みつけた。

(,,゚Д゚)「……お前か?」

( <●><●>)「ここで以前、学園生を気絶させた者を探しているのならば私ですが」

(,,゚Д゚)「そうか」

( <●><●>)「仕返しに来るのならここで待つのはベターかもしれませんね。お疲れ様です」

(,,゚Д゚)「ああ、そう思ったから来たんだ」

( <●><●>)「やはり」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:02:05.03 ID:2481Svl/0
(,,゚Д゚)「一人か?覚悟は出来てんだろうな?」

( <●><●>)「ペナルティはありませんが、ノルマを達成しなければなりませんから」

会話が通じていないような気持ち悪さを感じるが、そんなことには構っていられない。
ギコは犯人であろう人間が出て来た以上、その相手を殺さなければ気が済まないのだ。

(,,゚Д゚)「知るかよ。こr――」

( ><)「ワカッテマスくーん!!!」

(,,゚Д゚)「あ?」

ギコが武器を取り出そうとした時、気の抜けた声が響いた。

(;<●><●>)「な……っぶ!」

( ><)「やっぱりここにいたんですか!ぼくもここで張るつもりだったのに!」

声が高い。男なのか女なのか判断付かない中性的な声だ。
その発信者は入り口の男に激突しながら話し始めた。

( <●><●>)「邪魔するな」

( ><)「相手一人ですか?」

( <●><●>)「知るか」

( ><)「じゃあぼくがいればすぐ終わるんです!」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:06:07.10 ID:2481Svl/0
( <●><●>)「邪魔すんなっての」

( ><)「だめです!ぼくがやるんです!」

やるやる言ってるやつがすくっと立ち上がり、背中のククリ刀を構えた。

( <●><●>)「チッ」

隣のうるさい方に比べるとかなり背の高かった男。
彼は右手に拳銃を構えながら、うるさいチビの頭に左手の拳銃の口を押し付けている。

( ><)「ぬふふー!」

突然前に出たチビ。

しかし声とは裏腹に突っ込んでくることは無い。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:10:13.90 ID:2481Svl/0
(,,゚Д゚)「おまえ……やる気か?」

鉄棒を手に持ち、チビの頭に突きつけるギコ。

( ><)「ワカッテマス君!」

( <●><●>)「はいはい」

長身は声に応じると、公園の入り口の向こうまで下がっていった。
逃がす訳にはいかない。

(,,゚Д゚)「おい!まt――」


( ><)「わっ!!」


声を上げようとしたギコ。声は目の前のチビに被せられた。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:14:15.43 ID:2481Svl/0
(,, Д )「…………な……に……?」

聞いた途端に崩れ落ち、頭がぐらりと揺れる。体は震え、手に持っていた棒も落としてしまった。
一体どうしたというのか、胸を何か鋭いもので突き破られたような感覚に陥るギコ。

( <●><●>)「はぁ……面白くもない……」

(,,゚Д゚)「くっ!」

男はまた戻ってきており、歩きながらギコの頭に銃弾を当てる。
学園で支給されるのは反動と重量、大きさが実物と全く同じの特殊拳銃。
弾にはこれも実弾と同じ重量のゴム弾が使われている。しかしながらゴムといえど、すこぶる痛い。

( <●><●>)「立ってくださいよ。私とやり合いませんか?」

(;゚Д゚)「なんだ、これは……ぐっ!」

未だ体が震えるギコ。話しながら、またも頭に銃弾が当てられた。
このままでは簡単に意識を失ってしまう。それだけは避けなければならない。
落とした棒を拾い、ワカッテマスに振る。しかしそれは速度を伴わずゆっくりとした軌道で、あっさり彼に掴まれてしまう。

( <●><●>)「はぁ……だから邪魔をするなと」

( ><)「ぬふふー!ぼくすごいんです!」

( <●><●>)「そこまで便利でもないでしょうが……まあ、これで一人ですね。これの次は私が出ますから」

奪った棒を振り上げる男。
やっと体の感覚が戻ってきた程度のギコでは、その振り下ろしには到底間に合わない。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:18:20.07 ID:2481Svl/0
  _
( ゚∀゚)「ん?」

ジョルジュが繁華街方面に歩いていると、前方でなにやら人だかりができていた。

(*‘ω‘ *)「それでも大の男かっぽ?」

ジョルジュが人垣を上から覗くと、おっさんにマウントを取って一方的に殴る女。
周囲の話から推測すると、要するに酔っ払いに絡まれた女の子が返り討ちにしたようだ。

(*‘ω‘ *)「ほらほら!やり返してみるっぽ!」

殴るや殴る。明らかにやり過ぎなのに誰も止めに入らないのはどういうことなのか。
確かにおっさんを殴る女は恐ろしい形相だが。

(モブ)「おい!何やってるんだ!」

都市警備がやってきたようで、人垣をかき分けてぐいぐいやってくる。
その人数は二人。喧嘩の成敗ならば妥当だろう。

(*‘ω‘ *)「あ、まずい捕まるっぽ!まだ学園生誰もやってないっぽ!」

物騒なことを言ったと思うと、その女は人垣に向かって跳びあがり、人を踏み台にして逃げていった。
都市警備隊は周囲の人間の話を聞く一人と、倒れたおっさんを起こしているのが一人。
つまり、誰も彼女を追っていない。そして、彼女はジョルジュが探している相手の可能性がある。
  _
( ゚∀゚)「……めんどくせーな!!」

追跡する以外に選択肢はなかった。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:22:21.30 ID:2481Svl/0
(*‘ω‘ *)「ぽ?警備じゃなくて長い男がくるっぽ!」
  _
( ゚∀゚)「待てコラァァァァァァァァァ!!!!」

(;‘ω‘ )「うわあああああああ!!」

とりあえず鬼ごっこ。

(*‘ω‘ *)「――――ゎわああああああああああああ!!!っと!ここでいいっぽ!」

ニュー速圏内からはぎりぎり出そうなところまで走った。
周囲を見渡しても一本の国道が走るのみで、ここには今の時間人が来ることもない。
  _
( ゚∀゚)「お!止まったか」

彼女を追いかけていた長身の男もそこそこの距離を開けて止まった。
2、3キロはハイペースで走ってきたのだが、彼女同様、汗はかいていないようだ。

(*‘ω‘ *)「なんだっぽ?」
  _
( ゚∀゚)「ナンパだよ、ナンパ!」

(*‘ω‘ *)「え、まじかよ!はじめてだっぽ!」

嬉しそうな顔。決して悪くは無い顔だが、おっさんを楽しそうにボッコボコにする女などジョルジュも願い下げだろう。
  _
( ゚∀゚)「君のことが知りたいな!」

(*‘ω‘ *)「なになに?どんなことだっぽ!」

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:26:34.91 ID:2481Svl/0
  _
( ゚∀゚)「お前、学園生狙ってんのか?」

微妙にトーンが下がる彼。
ちょっと予想していなくてびっくりする女だが、こいつは標的であるかもしれない、と考える。

(*‘ω‘ *)「そうだっぽ!この前の奴の関係者っぽ!?」
  _
( ゚∀゚)「そうだ。お前を捕まえる」

(*‘ω‘ *)「なら学園生?」

ジョルジュが反応する頃には、彼女の拳が顎に命中していた。
  _
(  ∀ )「―――かっ!」

(*‘ω‘ *)「反応遅すぎだっぽ。雑魚乙」

意識は飛んではいないだろうが、脳を揺らしたのは確実。
ふらつく長身野郎の腹を狙い、素早いラッシュを加える。

(*‘ω‘ *)「ってぇ!かったいっぽ!鉄の腹筋か!」

鉄板に手加減せずに数発叩きこんだため、両手が砕けるような感覚に陥った。
手を抑えながら一度距離をとり、ポケットからグローブを取り出す。
  _
( ゚∀゚)「あー、びびった。お?お前ボクサーか?」

ふくらみのあるグローブを見たジョルジュ。
発想が安易である。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:30:37.42 ID:2481Svl/0
(*‘ω‘ *)「は?」
  _
( ゚∀゚)「そうだったらレクチャーしてくれ!俺の方は何発殴っても構わないぜ!」

(;*‘ω‘ *)「ええぇ……?」
  _
( ゚∀゚)「頼むぜ!」

わけのわからないことを言う男。
彼は状況を理解しているのか、理解する気が無いのだろうか。
とはいえ、光らせているその眼は真剣ではあった。

(*‘ω‘ *)「……じゃあジャブからいくっぽ!ポイントは素早く手を引くこと?ま、がっつり殴らせてもらうっぽ!!」

乗ってしまうこの女も大概である。
  _
( ゚∀゚)「っしゃ!来いや!」

また距離を詰め、彼に打ち込みを始めた彼女。

人気のない路上。肌寒い空の下。相対する男と女。
二人だけの夜のレッスンが始まった。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:34:41.31 ID:2481Svl/0
ミセ*゚ー゚)リ「いないよね」

( ^ω^)「いないお」

ミセ*゚ー゚)リ「帰る?」

( ^ω^)「もうちょっと歩くお」

ミセ*゚ー゚)リ「そだね」

( ^ω^)「あ、ミセリ」

ミセ*゚ー゚)リ「んー?」

( ^ω^)「その銃みたいなのなんだお?」

ミセ*゚ー゚)リ「えっとねー……秘密!」

(;^ω^)「ええ……暇だし教えてくれても……」

ミセ*゚ー゚)リ「悪い奴に会ったら絶対使うって!」

( ^ω^)「じゃあそれなりに期待してるお」

ミセ*゚ー゚)リ「うん!あ、でも絶対人に向けて撃っちゃダメだってハローさんが言ってた」

( ^ω^)「え……?あいつ、こいつにそんなおっかないもの持たせんなお……」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:38:42.73 ID:2481Svl/0
( ><)「ワカッテマス君!なんで浮いてるんですか?」

( <●><●>)「こんなアホな事があるとは思わなかった」

ワカッテマスはギコの鉄棒を彼に対して確かに振り下ろしたのだが、なぜか勢いよく空振りしてしまった。
彼は浮いてしまっていたのだ。目がイってるので世間的には当然のこと、物理的にも。

( ><)「すごいんです!」

( <●><●>)「すごくねえよ」


(´・ω・`)「やぁ」

(,,゚Д゚)「ショボン……!」

ギコはグロッキー状態からようやっと立ち上がり、親しげに話しかける男の名前を呼ぶ。

(,,゚Д゚)「どうしてお前が?」

ショボンは上を向いてわーわー言ってるちっさい奴を無視し、ギコの方へ歩いてきた。
いつも通り、表情に乏しい。

(´・ω・`)「兄がやられて黙っていられるほど、僕はできた人間じゃないんだ。
      だから、昨日はずっとここで待っていた。どうやら今日が当たりだったようだけどね」

(;<●><●>)「あの、降ろしてください……」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:42:46.51 ID:2481Svl/0
(´・ω・`)「君をこのまま空中でバラバラにするか、頭から叩き落とすか選ばせてあげるよ」

どちらにせよ死ぬ可能性があるのは明白だ。
それほどまでに彼の怒りは募っているらしい。

(,,゚Д゚)「待てショボン。こいつは俺が殺す。お前はあっちだ」

まだ上を見ているチビを指差すギコ。
チビはぼーっとしたままだ。

(´・ω・`)「どっちだっていいだろ?」

(,,゚Д゚)「俺は女はやれない」

(´・ω・`)「そうなんだ。その子女の子なんだね」

チビはようやくこちらに目を向け、少し驚いた表情だ。
女だと思ってみれば、確かに体が全体的に丸みを帯びているのが見受けられる。

( ><)「なんでわかったんですか?」

(,,゚Д゚)「喉仏が無かった、あと勘」

(;><)「いやいや勘ってなんですか……」

(´・ω・`)「……まあいいよ。ならあいつは降ろす。逃がさないでね」

ワカッテマスをゆっくり降ろし、今度はチビ女を見やるショボン。
ギコは着地したワカッテマスの方へ歩き出していた。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:46:50.91 ID:2481Svl/0
( ><)「うわわわわ!!怖いんです!!」

(´・ω・`)「言っておくけど、僕は女だからといって容赦はしないよ」

( ><)「当たり前です!」

未知の力に体を浮かされても強気に応える。
本来ドSのショボンは、これから自分が殺人を犯さない範囲でできることをいくつか想像し、図らずも勃起した。

(´・ω・`)「なかなか興奮するよ」

( ><)「痛いんです!!痛いんです!!」

呟いたままショボンは笑う。
痛めつけられた彼女の表情を見て、なお笑う。
浮かされたチビ女の両腕は、一回転と四分の一ほどねじれていた。

(´・ω・`)「あとほんの、ごく僅かに、少しだけそれを動かしたら、君は明日から大変だよ」

( ><)「わっ!!」

ギコに対しても取った行動、吠える。
これが彼女の能力の発動条件であるのだが、

(´・ω・`)「吠えるなよ」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:50:58.38 ID:2481Svl/0
(;><)「……」

絶句。どうすることもできない。自分の能力を単なる威嚇として一蹴されてしまった。
不思議と痛みは忘れ去られ、自分を見上げる男の視線に、ただただ恐怖した。

(´・ω・`)「足を折った方が面白いかもね」

( ><)「……!」

ねじられる。
自分の足がこんなにも曲がるとは、と彼女の脳が驚いて告げる。

(´・ω・`)「吠えるのはダメだけど、喚くのはいいんだよ?なんだったら裸に剥こうか?」

( ><)「いやなんです………」

こんなことを口に出しても彼を喜ばせるだけだ。
それが解っていても、彼女の口は動いてしまった。

(´・ω・`)「っははは。……じゃあ、そうしようか」

( ><)「……」

その後間も無く、限界まで四肢がねじれた少女は、深夜の公園の上空で全裸に剥かれるという妙な屈辱を与えられた。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:55:02.19 ID:2481Svl/0
(,,゚Д゚)「ムカつくお前を俺が直々に殺す権利をもらってやったぜ」

( <●><●>)「それはどうも。これで死ななくて済みます」

着地したワカッテマスに、ギコが槍を取り出しつつ言った。

(,#゚Д゚)「あ?お前は死ぬんだよ」

( <●><●>)「享年78、ってところですね」

正面に槍を突き出す。ワカッテマスは動じることなく右に重心をずらし、回避の隙が最小限になる姿勢になりつつ右の銃でギコを撃った。
ギコは彼の銃身が自分を向いた段階で、槍を持たない手で首にかかる十字架型のアクセサリを巨大化。
頭を狙うその弾は、出現した刀身に阻まれ当然当たることはない。

( <●><●>)「ほう」

大剣はその場に刺さり、ギコは槍を横に振る。
剣とぶつかることで柄がしなり、先端が広範囲を薙いだ。

( <●><●>)「その程度、ワカッテマス」

槍が届かない範囲にほんの一歩後退し、飛び出す腕を狙って弾を二発撃つ。

(;゚Д゚)「くっ」

銃弾にたまらず槍を取り落とし、腰から2本の対剣を携えた。
巨剣の陰から飛び出し、顔面を防ぐようにしてワカッテマスに切りかかる。

( <●><●>)「その動き、ワカッテマス」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 19:59:09.94 ID:2481Svl/0
二方向から筋が伸びるのだが、ワカッテマスは一方を片手の銃身で受け流し、一方は最小限の姿勢移動で回避。
そして銃弾を額に一発撃ち込む。

(,, Д )「がぁっ!」

( <●><●>)「あなたの行動はワカッテマス」

弾に持ちこたえたギコは同じように剣を振るった。
しかし彼の言葉通り、ギコの動きは読まれているかのように完璧にかわされる。
銃弾もまた同じように飛んできて、意識を飛ばしそうになった。

(,, Д )「っ……そ」

( <●><●>)「あなた、もう二回は死にましたよ。それに片腕も、本来なら振れません」

(,, Д )「ガキが……殺してやる」

( <●><●>)「あなたの動きはワカッテマス……弱者に興味はありません」

(,, Д )「っ!!」

さらに額に二発撃ち込まれる。受ける姿勢も取れず、ギコは仰向けに倒れ込んだ。

( <●><●>)「これで三回の死亡。面白みの欠片もない」

ワカッテマスは倒れた彼に目もくれず、空中で全裸に剥かれた少女の方に歩き出す。
そしてその足は、ギコを踏みつけるように動いていた。

(,, Д )「…………くそ………」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:03:17.87 ID:2481Svl/0
するとワカッテマスの足元から凄まじい数の武器が飛び出す。
何とか彼の妙な動きに反応することができ、飛び退いて回避したワカッテマス。
しかし今一度飛び出し先を見ても、回避したはずの武器の群れは無かった。

( <●><●>)「……今のは?」

ギコは立ち上がると、腰のアクセサリーのいくつかを取り出し、小さな鎖を巻きつけたものを二束作ると両手に構えた。

(,,゚Д゚)「御法度だ」

( <●><●>)「切り札ですか?」

(,,゚Д゚)「御法度だよ。……俺の動き、わかってんだろ?避けてみやがれ」

ふらつく体を誤魔化し、駆けだしたギコ。
ワカッテマスは銃弾を撃ってみるのだが、銃口を向けた段階でギコの手から花のように武器が展開し、弾を通さない。
そのまま、距離は詰まる。

(,,゚Д゚)「おら!」

伸ばした手から炸裂する凶器。
それでもワカッテマスは伸びてくる位置を正確に把握しているのか、かなり無理な体勢で回避する。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:07:33.45 ID:2481Svl/0

(;<●><●>)「まさかこんな力があったなんて!!」

(,,゚Д゚)「こっちも驚きだ!なぜ避けられる!」

(;<●><●>)「見えるんです!!」

(,,゚Д゚)「そうかよ!」

開く花に相対し踊る男。銃弾は撃つもことごとく防がれ、もうただ避けるだけの彼。

話しながらもかなりすれすれで避け続ける。

しかし今は片手でのみの攻めだ。

防御に使っている花が彼に対し開けば、間違いなく直撃、間違いなく死ぬ。


(;<●><●>)「御法度、確かにその通りです!!普通なら即死ですよ!!」

(,,゚Д゚)「そうだろ!だがお前が相手なら丁度いいな!」


凶器は振られ続ける。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:11:44.65 ID:2481Svl/0
(;<●><●>)「圧倒的な死の恐怖ですがね!!」

(,,゚Д゚)「そいつに早く向き合えよ!」

二人は楽しそうに叫びあうが、もう完全に一方的な命の搾取をしている。
今のワカッテマスに彼に対抗する手立ては無いのだ。

(;<●><●>)「くっ!!限界です!!」

(,,゚Д゚)「だったら、死ね―――」

ワカッテマスの限界とは弾切れのことだ。
同じ拳銃を支給されているのだから、弾の残数については数えているに決まっている。
そこで、潔く叫ぼう、彼はそう考えたのだ。

両手は目前。完全に避けられない。迫る恐怖。
類まれな直感で見た、自分を貫く幾多もの筋。

彼は花が開くのを見る前に、気を失った。


(,,゚Д゚)「―――ってな……」


片手が棒で彩られた花、もう片手が剣で彩られた花。
呟くギコの両手の蕾は、もう一度開くことはなかった。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:15:57.87 ID:2481Svl/0
「……」

涙や糞尿、汗と涎と愛液が水たまりを作っていた。
その水たまりの上には無表情の少女。
水たまりの手前には、笑う男。

(´・ω・`)「はははは、舌でも噛み切ればいいのにね」

少女も一度はそれを考えた。
しかし、口が動かないのだ。口どころか全身の自由が完全に支配されている。
目は自分が垂れ流した水たまりに向けられ、瞬きすらも許されていない。
四肢は折られてはいないがねじられ続け、それが元の位置であるかのような感覚に変わってきている。
鼻や肛門や膣、尿道には先程からぬめるような異物感が前後に動き、気持ちの悪い音を立てている。

(´・ω・`)「……これくらいでいいかな?ギコも終わったみたいだし。
      あ、君、それくらいで自殺しちゃだめだよ。友達を殺されたくないだろ?」

すると彼女はそこから落下。落ちた先は自身の水たまりで、べちゃりという音。
自分が生きているのを実感しようとしたのか深呼吸をし、その場で枯れた目を抑え、声をあげて泣きじゃくった。

(;゚Д゚)「……ヤバすぎんだろ」

(´・ω・`)「やぁ」

声を掛けた男は先程と全く同じ、平然とした顔だ。
まるで自分のしたことが当然のような。

(,,゚Д゚)「同じ神種でも、お前は別格だな」

(´・ω・`)「君は使い方次第で小さな街くらいなら潰せるだろう?僕は小規模じゃないとこれほど好き勝手は出来ないさ」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:20:07.58 ID:2481Svl/0
  _
( ゚∀゚)「おう!そう打つのか!」

(*‘ω‘ *)「そうだっぽ!あ!もっと脇締めるっぽ!」
  _
( ゚∀゚)「こうか?」

(*‘ω‘ *)「おー、なかなか筋がいいっぽ!」
  _
( ゚∀゚)「ありがとな!」

和やかな会話がなされているようだが、この間拳は頻繁にジョルジュの顔面にめり込んでいる。
それをものともしないジョルジュであるため、彼をサンドバック代わりに実演を含めたレクチャーを可能にしていた。

(*‘ω‘ *)「名前、なんていうんだっぽ?」

ジョルジュの顔面に入る拳。
  _
( ゚∀゚)「俺か?俺は三年のジョルジュだ!」

彼も打ち返すが、ダッキングでかわされる。

(*‘ω‘ *)「ワタシは一年のちんぽっぽだっぽ!連絡先教えてほしいっぽ!」

そして腹に軽く二発打ち込まれる。
  _
( ゚∀゚)「ああ!いいぜ!あ、俺の友達には謝ってくれよ!」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:24:20.06 ID:2481Svl/0
拳を振り下ろすジョルジュ。

(*‘ω‘ *)「……三年なのに友達?よくわかんないけどわかったっぽ!」

かわす彼女。
  _
( ゚∀゚)「おう!わかってくれたか!じゃあちんぽっぽの仲間も説得してくれ!」

そこで肩を掴む。
ちんぽっぽは抵抗することなく、素直に動くのを止めた。

(*‘ω‘ *)「わかったっぽ。でも、ワタシ達の先輩はむりだっぽ」

目を反らしながら言うちんぽっぽ。
言い寄ったジョルジュが振られたように見える形になる。
ある意味、振られたのかもしれないが。
  _
( ゚∀゚)「先輩?どんな奴だ?」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:28:27.24 ID:2481Svl/0
(*‘ω‘ *)「……『二天』って名前は知ってるかっぽ?」
  _
( ゚∀゚)「え……そいつらが先輩?」

(*‘ω‘ *)「そうだっぽ。ちょっと危ない人たちだっぽ。強いから付いてったけど」
  _
( ゚∀゚)「ちょっと、マズイかな……」

二天とは、二年生トップの二人の通称だ。

彼らは一年の頃から学年で抜きんでた実力を持ち、他の追随を許していない。
そして保持する能力から、彼らは二人セットとなると同学年で敵うものはいないという。
そうしてつけられた渾名、それが二天。ちなみにその能力ともちょっとかかっている。

(*‘ω‘ *)「先輩は東側に居るって言ってたっぽ」
  _
( ゚∀゚)「な……ピンチフラグってやつか!?悪い、連絡先は男子寮で!」


詳しい場所の当てはない。しかし聞いてしまった以上、ジョルジュは走るしかなかった。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:32:47.93 ID:2481Svl/0
( ´_ゝ`)「ん?あれは学園生か?手つないでやがる」

(´<_` )「そうだろうな。全く……若い男女がこんな時間に出歩くなんて」

( ´_ゝ`)「かっぽーめ、運が無かったな。モテない俺らへのあてつけなんかするから……」

(´<_` )「お前と一緒にするなよ、兄者」

( ´_ゝ`)「お前だって特別モテるわけじゃないだろ、弟者」

(´<_` )「まあ、それは言えてるな」

(* ´_ゝ`)「フヒッ!それより早く行こう!」

(´<_` )「ああ」

(* ´_ゝ`)「俺達の力を振りかざすときだ!」

棍棒をぶんぶん振りまわす片方。

(´<_` )「いや、うるせえっての」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:36:53.16 ID:2481Svl/0
歩きながらブーンとミセリは指相撲に勤しんでいた。

ミセ#゚ー゚)リ「ぐぐぐ!ブーン!手!でかいから!!」

( ^ω^)「いやぁー、戦いとは常にそういうものだお」

ミセ#゚ー゚)リ「うー、だりゃ!!」

(;^ω^)「いってぇ!!捻るなお!!」

( ´_ゝ`)「おい貴様ら、深夜に散歩とはなかなか見せつけてくれるじゃないか」

ミセ*゚д゚)リ「だってずるいよ!」

( ^ω^)「だからってなんで腕ごと持ってくんだお!」

(´<_` )「聞いてないな」

( ´_ゝ`)「ああ、聞いてない。奴らの背景がピンク色だ」

ミセ*゚ー゚)リ「やーもう!ブーンが悪いもん!」

(* ´_ゝ`)「あ、よく見たら女の子可愛いな!フヒヒ!!」

(´<_`;)「おい……」

(* ´_ゝ`)「俺は女の子をやる!いただきますぞ!」

(´<_` )「はぁ……まあいいか。やるぞ」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:40:51.97 ID:2481Svl/0
ようやく近付いてきた気配。指相撲の合間に目でブーンとのコンタクトを済ませていた。
相手は二人。それぞれ一人ずつに襲いかかろうとしているのは手に取るようにわかる。
闇討ちされかけた経験なら無いこともない彼女は、そういった空気に過敏だ。
あちらから話しかけて来たのは少々誤算であったが、無視したほうが想定通りに動いてくれると踏んだ。

( ^ω^)「僕が悪いのかお?」

ミセ*゚ー゚)リ「いや、悪いのはこいつらだね」

二人の背後から振られた棍棒。
一人はメリケン、一人は鉄板が付いたグローブで受け止め、襲撃者の胸を蹴りで押し返す二人。
蹴られた二人は片手の細い棒で、同じように難なく防いでいた。
ブーンに蹴られた一人は、弾けた分幾らか距離が遠いが。

(* ^ω^)「街で人襲うようなアホ、楽しみだお」

(´<_` )「悪いが、襲われて笑ってるアホは好きじゃないな」

(* ´_ゝ`)「フヒヒ!可愛いね!お持ち帰りぃ!」

ミセ;゚ー゚)リ「うう……やっぱり人に向けて撃っていいかなぁ……」

それぞれ相対すると、二天の狩りは始まる。

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:45:00.73 ID:2481Svl/0
(´<_` )「起爆人間か?」

呟いた弟者は普通に柄を持っていた棍棒の、中心付近に付いていた取っ手を掴み構えなおす。

( ^ω^)「盾になるのかお」

(´<_` )「いや、基本はこう持つ」

( ^ω^)「そうかお!」

ブーンは大きく踏み込み、脛へと足を振る。その相手は足を警棒で弾くが、そこで爆破が起きた。
手がしびれたのか、腕をぷらぷら振りながら後退する。

(´<_` )「……少し相手が悪いな。兄者!最初から飛ぶぞ!」

(* ´_ゝ`)「あ?こっちは楽しんでるんだよ!この子可愛い!」

見るとそれなりに打ち合いを重ねている。
あちらも棍棒を盾のように持ち、細い棒を振り回しつつもミセリの打撃を防いでいた。
その彼女は仏頂面で、なんだかあまり攻める気が無いようだ。

( ^ω^)「よそ見すんなお!」

左踵の反動で一気に体を加速させる。
同時に拳を顔面に打ち出す。が、顔には入らない。
それを阻んだのは彼の左手、鋼鉄の盾である。

(´<_` )「してねえよ」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:49:05.13 ID:2481Svl/0
爆風が起きるが気にはしない。弟者も気にせず、細い棒でブーンの脇に殴りかかる。
それを腕で押し弾くブーン。爆破により弾ける相手の腕。その腕の開いた隙間に左足を叩きこむ。
やはり盾となった棍棒で防がれてしまうが。

(;^ω^)「盾めんどくさっ!」

さらに蹴りを入れた際の爆風を用い、右足を軸に回転した。
そして踵を彼の左側面に向けて振り回す。

(´<_` )「盾のせいにするなよ」

盾を持った肘を踵に合わせる。
そこでブーンは顔に向けて左の裏拳を振り下ろした。
右手の棒で防ぎ、弾ける。弟者は怯むが、ブーンは続く。

(´<_`;)「くっ!」

軸だった右足で軽く跳び、巻き込み掛けるように体を捻りながら膝を顔面に向け、打ちつける。
それを防いだ棍棒には爆破と重い衝撃が走った。一歩よろめき下がる弟者。
前のめりになって着地したブーンは右爪先を起爆、ここで一気に連打にかかる。

(´<_`;)「兄者!」

(# ´_ゝ`)「ったく!」

ミセ;゚ー゚)リ「え?」

はずだった。ブーンは突然かなりの質量を持ったもので背中を殴られたのだ。
ブーンは這いつくばるも、掌を起爆しなんとか距離を取る。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:53:49.55 ID:2481Svl/0
(;^ω^)「……ミセリ!なんで逃がしてるんだお!」

ミセ*゚Д゚)リ「いきなりそいつ消えた!」

( ^ω^)「――!」

ブーンに向かって二つの棍棒が振り下ろされる。
あまりに危険。思わずとび跳ね、転がりながら逃げる。

ミセ#゚ー゚)リ「でい!」

(´<_`;)「ぐえっ!」

さらにブーンを追ってくる二人の片割れに、ミセリがとび蹴りを喰らわせた。
そいつは左手に棍棒を持った方だ。

( ´_ゝ`)「あ!あの子は俺が取るのに!」

(# ^ω^)「うるっ、せーお!」

一人減ったことにより逃げる必要もなくなったブーン。
未だ振られる棍棒を掌で受け爆破で弾き飛ばし、前に踏み倒すように蹴りを入れた。

(;´_ゝ`)「ぐっ!……っそ!」

後退する彼に向かい、ブーンは滑り込むように懐へ潜る。
素早く腹部に二発、顎に一発の拳。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 20:57:56.79 ID:2481Svl/0
(# ^ω^)「くらっ!」

そこでふらリとする彼に、回し蹴りを入れ――

( ^ω^)「――え?」

いつ動いたのか、そもそも動く余裕はあったのか。
ブーンが攻めていたはずの彼は、その場にはいなかった。

「きゃ!!」

いつの間にか移動した奴は、ミセリに棍棒を振り下ろしている。

(* ´_ゝ`)「フヒヒ!!ボコすからね!!」

不意に振られた鉄の塊は、驚いた少女の頭に直撃。
加減はなされておらず、鮮血が飛ぶ。

(´<_` )「これで一人だ、なっ!」

もう一人も左手にもつ棍棒で、腹をサンドバッグにするように横ぶりに殴る。

「ぁっ!!」

押し潰された腹から自然に出てきてしまう声。
次いで振り上げられるのは、二つの鉄塊。

( ^ω^)「待てこら」

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 21:01:58.53 ID:2481Svl/0
それが降ろされる前に、後ろから男が来ていた。
一気に距離を詰めて来た彼は勢いよく二人の肩を掴む。

( #´_ゝ`)「「あ?」」(´<_`# )

楽しみをお預けにされた二人は訝しげな顔で振り返る。
同時、彼らの肩が炎とともに弾けた。

(;´_ゝ`)「「いってええええええ!!!」」(´<_`;)

崩れる二人。肩を抑えて膝をついた。
ブーンは彼らを止めるため、多めの火薬を素手で叩きつけたのだ。

( ^ω^)「まったく……」

ブーンは体からガソリンのような液体を分泌する能力を持つ。
液体のままでは少々危険なので、すぐに気化する性質を利用し、そちらを爆破させて用いているのだが、今彼が行ったのは素肌の液体の直接発火。
とても火傷しにくいブーンは掌の皮が吹き飛ぶ痛みに耐えれば済むが、当然ながら彼らはそれだけでは済まない。

(# ^ω^)「……紳士の僕もムカついたお!」

(# ´_ゝ`)「……っの野郎!」

無事で済んだ片手で棍棒を振るう右利き。
短絡的過ぎて避ける気にもならなかったブーンは自分の痛みに構わず鉄を足で弾く。

(;´_ゝ`)「弟者!」

(´<_` )「わかってる!」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 21:06:03.00 ID:2481Svl/0
怯む彼をさらに蹴り飛ばそうとしたのだが、また一瞬消える。

(# ´_ゝ`)「こっちだ!!馬鹿が!!」

背後の棍棒。声を出す程こちらの馬鹿はそれほどに怒っているのだろう。
ブーンは屈んで避け、その低い姿勢で背後の足に向かってくるりと回転しながら蹴りを放つ。

( ^ω^)「!!」

しかしまたも消える。そしてブーンの眼前には棍棒二つ。

(# ´_ゝ`)「「流石だよな、俺ら」」(´<_` )

それらは左右から横振りに振られ、ブーンの頭と顎を打った。

(  ω )「っ!!」

鉄の塊で打ちつけられたのだ。
首が捩じ切れそうになり、意識も当然吹っ飛んでいった。

(´<_`;)「……くっそ……やっぱ肩外れてやがる……」

(* ´_ゝ`)「可愛い子食べちゃお!ハアハア」

(´<_` )「気絶した相手で童貞卒業か。流石だな、兄者」

(* ´_ゝ`)「流石だろう!フヒヒ!」

兄者は倒れ込んだ一人の横に座ると、服を脱がそうと手を伸ばす。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 21:10:05.55 ID:2481Svl/0
しかし手は、その彼女に掴まれることとなった。

ミセ#゚ー゚)リ「このっ!」

(  _ゝ )「あビっ!」

小さく痙攣する兄者。
そして彼の顔を発光するメリケンで数発殴り、ミセリは腰にあった長い銃を持ち出すと頭のあたりに突きつける。

(´<_`;)「そうだ……まだ意識あったのか……まずいな……」

ミセ*゚ー゚)リ「これぶっこわさなきゃね!」

(´<_`;)「おいおい……兄者をこれ扱いかよ……」

呟きつつも弟者は瞬時に兄のもとへ移動した。

ミセ;゚ー゚)リ「ひゃっ!」

(´<_` )「させるか」

ミセリの横で棍棒を振りかぶる弟者。
彼女は殴られる寸前に、肩に構えた銃口を棍棒に向けた。

ミセ#゚ー゚)リ「当たれ!!」

そして、轟音が響いた。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 21:14:16.26 ID:2481Svl/0
夜に響く。
強いて言えばトラックが軽自動車とトンネルで正面衝突したような音。聞いたことはないけども。

(´<_` )「……え?……これ…………え?」

そして、弟者の持っていた鉄の塊は粉々に飛び散った。
ミセリの持つ武器は先程と形状が少し変わっているようだ。

ミセ*゚ワ゚)リ「当たった!」

(´<_`;)「……んな、馬鹿な……」

―――死ぬぞ、これ。

ミセ*゚ー゚)リ「えへへ!まだやる?」

笑顔でこちらを見る少女。
圧倒的な破壊力を持つものを携えているにもかかわらず、まるでそれが当然のように振舞っている。
ビビってその場に座りこむ弟者。しかし冷静な判断が出来ていたとしても、状況的に勝ち目はもう無いのだ。
そんな彼の目の前には、無残にも粉砕された自身の得物の欠片がころころと転がっていた。

(´<_`;)「いや……降参です……」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 21:18:28.81 ID:2481Svl/0
  _
(;゚∀゚)「ハァ……ブーン!ミセリ!」

ようやくジョルジュが追いついた。
珍しく息を切らし、肩で呼吸する。

ミセ*゚ー゚)リ「あ!じょる君!」

( ^ω^)「なんで急いで来たんだお?」
  _
( ゚∀゚)「いや、こっちに二天がいるって聞いて」

( ^ω^)「にんてん?あいつらかお?」

指差すブーン。そこには土下座の姿勢で縛られた二人。
周りに鉄の破片が散乱し、片方は顔がボコボコになっている。
  _
( ゚∀゚)「さあ……強かったか?二天は二年最強らしいぞ?」

( ^ω^)「うーん……身のこなしはまあまあ、って感じかお。でも能力が全く意味不明で僕気絶させられたお」
  _
( ゚∀゚)「どんな?」

ミセ*゚ー゚)リ「消えたの!」
  _
( ゚∀゚)「ああ、だったら多分二天だな」

( ^ω^)「どんな能力なんだお?」
  _
( ゚∀゚)「二点の支配だ」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 21:22:32.96 ID:2481Svl/0
(;^ω^)「げ……支配って、神種かお……」

ミセ*゚ー゚)リ「あれずるいよね!反則!」

( ^ω^)「こいつらがアホでよかったお……あ、反則といえばミセリも」

ミセ*゚ー゚)リ「これ?」

長い銃のようなものを取り出す。
  _
( ゚∀゚)「結局それ何なんだ?」

ミセ*゚ー゚)リ「わたしの新武器!電磁パイルバンカーだー!反動で腕肩がめっちゃ痛いぜえ!」

( ´ω`)「これ鉄の塊をバラバラにしたお……ハローはイカれてるお……」
  _
( ゚∀゚)「それ没収モンじゃねーか!」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 21:26:37.12 ID:2481Svl/0
ミセ*゚Д゚)リ「やだー!それより突き出すべき人がいるじゃないかぁ!」

シュバっと銃口を頭に向けるミセリ。
土下座してる奴らの片方がびくついた。
  _
( ゚∀゚)「……まあ、それもそうだな」

( ^ω^)「お、」

震える端末。通信要請を出したのはギコだった。

『気違い暗殺者ブーン、なんかあったか?』

( ^ω^)「そんな糞漫画みたいな名前じゃないけど二人捕まえたお」

『そうか、こっちも二人だ。じゃあ寮に来てくれ』

( ^ω^)「わかったおー」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 21:30:43.39 ID:2481Svl/0
というわけで、寮前に集結しました。

(,,゚Д゚)「おい、お前が主犯か」

(´<_` )「そう、だな」

(,,゚Д゚)「……二日前、お前は俺の班員をやった。それに関して言いたいことはあるか?」

ギコの顔を黙って見つめていた弟者だったが、彼の言葉を聞くと微妙な顔をする。

(´<_` )「……ん?」

(,,゚Д゚)「なんだ?」

(´<_` )「いや、言い訳でも謝罪でもないんだが、いいか?」

(,,゚Д゚)「言え」

(´<_` )「俺たちは二日前は誰もやってないが」

(,,゚Д゚)「なに?」

(´<_` )「俺らが動いたのは三日前。ボコしたのは一年に二天だ、と騙ってた二年の二人だ」
  _
( ゚∀゚)「本当か?」

ジョルジュが捕まえて来た唯一の無傷、ちんぽっぽに聞く。
彼女は顔を上げようとはしない。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 21:34:48.54 ID:2481Svl/0
(*‘ω‘ *)「……本当だっぽ」

( ^ω^)「じゃあ今日はなんでこんなことになってるんだお」

理由があったからやったようなことを言うが彼らだが、今日の行動は明らかに無差別なものだ。
やってない、はいそうですか、でまかり通るような問題ではない。どちらにしろ被害者は間違いなくいるのだ。

(´<_` )「楽しかったから」

(,,゚Д゚)「……何だと?」

(´<_` )「そいつらをやったときは楽しかった。力を全力で出すのは楽しい、容赦もしなくていい」

(,#゚Д゚)「………………」

さも当然の言う弟者を睨みつけ、拳を握り締めるギコ。

(,,゚Д゚)「……お前、神種なんだって?」

(´<_` )「そうだ」

(,,゚Д゚)「俺も神種だ。質量体積の支配、研究者には『ZIP』って呼ばれてる」

(´<_` )「……そうか」

(,,゚Д゚)「確かに俺達は知識持ちよりは多少優れた能力がある。だがな、それに酔うことは力を操っているわけじゃない。振り回されているだけだ」

おもむろに説教をし始めるギコだが、自身が無茶をしたことを覚えているのだろうか。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 21:38:57.62 ID:2481Svl/0
(´<_` )「……」

(,,゚Д゚)「俺もお前のように一時はそんな風に戦っていた。能力に頼っていたんだ」

(´<_` )「いた、か。どうして変わったんだ?」

(,,゚Д゚)「負けたんだ、同じ学年の普通の相手に。俺は全力で抑えるつもりだったが、一瞬で首に爪を当てられた」

(´<_` )「情けないな」

(,,゚Д゚)「ああ、情けなかったな。精進することをしてこなかったばちが当たったんだろ。それからは俺は力に制限をかけて、自分を鍛えるようにしたんだ」

(´<_` )「……」

(,,゚Д゚)「お前だって今日負けただろ。どうやって負けたのかは知らないが、本来なら負けるはずの無い相手のはずだ」

ミセリがひどいとかなんとか喚きそうになるのをブーンが止める。

(,,゚Д゚)「まったく情けないな、お前も」

(´<_` )「……情け、ないかもな」

(,,゚Д゚)「でだ、思い直すことがあるなら、これからは俺達が組み手に付き合ってやるよ、二年最強。俺には全力で来ても構わないぞ」

(´<_` )「……」

(´・ω・`)「……丸く収まったかい?ギコ」

ショボンがタイミングを見計らって話しかける。

66 名前:さるさんきらい 投稿日:2009/10/11(日) 22:00:05.57 ID:2481Svl/0
(,,゚Д゚)「いや……収まってねえよ……お前自分が何したか忘れたのか?」

(´・ω・`)「この子かい?」

ショボンにくっついたチビ女。確かにギコが言いたいのはそういうことだ。
しかし、

( ><)「ぼくですか!?」

(,,゚Д゚)「なんだと………」

あんな悲惨な目に合ったのにもかかわらず明るいテンションのままショボンに懐いている。
彼は精神操作もできるのか、とギコは思った。

(;<●><●>)「ああ、そいつドМなんですよ」

(,,゚Д゚)「お前意識戻ってたのかよ」

目の大きな長身野郎が後ろ手を縛られながら立っていた。
まだ少し顔色が悪く、死の恐怖から逃げきれていないらしい。

(´・ω・`)「僕も驚いたよ。さっきまで泣いていたかと思ったらさ、もの欲しそうな顔で僕を見つめるんだ」

(* ><)「気持ちよかったんです……」

レンジでチンしたチーズみたいな表情。まさしく生粋の変態である。

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 22:02:50.20 ID:2481Svl/0
(´・ω・`)「うん。もっと気持ちいいこと教えてあげるからね。……というわけで僕はこの子を調教することにしたんだ」

(*><)「一生ついてくんです!」

パッと見ゲイのカップルに見えるかもしれないショートボブのチビ女。
彼女はいまだ学生にしてとんでもない道に飛びこもうとしていた。

(,,゚Д゚)「はぁ……変態はもういいわ。それより、実際の問題はまだ解決してないわけだ」
  _
( ゚∀゚)「そうだな。誰がやったんだか……」

( ^ω^)「お……」

ミセ*゚ー゚)リ「どうしたブーン!!!どうしたんだ!!!」

( ^ω^)「うるせえハネ子。前のストーカーが関わってるかもしれないと思っただけだお」
  _
( ゚∀゚)「あー、……予行演習、だったか?」

( ^ω^)「だお」

(,,゚Д゚)「なんにせよ、シャキンの口から聞いてみないと何もわからなそうだ」
  _
( ゚∀゚)「まーそうだな」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 22:05:03.42 ID:2481Svl/0
(´<_` )「なら俺達は解放してくれるのか?」

(,,゚Д゚)「ああ、もう俺らが捕まえとく理由もねえし、突き出すのもだるい」

(´<_` )「ギコ、だったか?……組み手、頼むからな」

(,,゚Д゚)「ったく生意気な口だ。待ってるぜ」

( <●><●>)「私もお願いしますよ」

(;゚Д゚)「いいけどよ、お前には実力で負けたんだよなぁ……」

( <●><●>)「先輩の御法度、今度は両手のやつを全部避けます」

(,,^Д^)「ははは!やってみろっての!一応あれでも加減してたんだぞ!」

(*‘ω‘ *)「ジョルジュ先輩!」
  _
( ゚∀゚)「あ、ちんぽの連絡先忘れてたな」

(*‘ω‘ *)「ちんぽっていうなっぽ!」
  _
( ゚∀゚)「ちんぽじゃねーの?」

(*‘ω‘ *)「ちんぽっぽだっぽ!覚えるっぽ!」
  _
( ゚∀゚)「んー、悪かったぜぽっぽちゃん」

(*‘ω‘ *)「ぽっぽちゃんて!」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/10/11(日) 22:07:05.15 ID:2481Svl/0
ミセ*゚ー゚)リ「ねーぶんぶーん」

( ^ω^)「カブトムシじゃないおー。なんだおー」

ミセ*゚ー゚)リ「わたし達ってさ、社交性ない人みたいだねー」

( ^ω^)「事実無いんじゃないかおー?」

ミセ*゚ー゚)リ「さみしーねー」

( ^ω^)「僕はみせりんがいれば十分だおー」

ミセ*゚ー゚)リ「何言ってんだか……あ、そうだ」

( ^ω^)「なんだお?」

ブーンの下の方に指を向ける彼女。
何を指しているのかとブーンが顔を下げると、そこにはボロボロになった自身の掌があった。

ミセ*゚ー゚)リ「ごめんね!それから、守ってくれてありがと!じゃーね!」

で、ミセリは手をぶんぶんにぶんぶん振りながら歩いて帰っていきました。
みんなまだゴチャゴチャ話していたので、ブーンも寮に帰ることにしました。

( ^ω^)「いや、結果的に助けられたのは間違いなく僕だお……」

第十二話「二点の兄弟」・終わり


戻る 次へ

inserted by FC2 system