- 3 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 19:12:14.22 ID:E0wTUbGhO
(・∀ ・)TRAVELERSのようです
序章 世界崩壊
- 4 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 19:21:15.16 ID:E0wTUbGhO
時は2012年12月20日。
日本時間・午後零時。
全世界のラジオ電波が、何者かによってジャックされる事件が起こる。
『あー、あー、マイクのテスト中、マイクのテスト中…』
突然、獣の唸る様な、地響きのような、とにかく不気味な声がラジオ放送を中断させた。
『あー、これ聞こえてる?聞こえてるよね?聞こえてますかー
同時翻訳って面倒なのな……』
人のモノとは到底思えないようなその声は、ラジオを聞いていた人々を驚かせ、尚且つ混乱させるには充分な威力を持っていた。
そして、更に信じられないような言葉――後に語られる事となる「予言」――…が、全世界に発信されたのである。
- 6 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 19:25:57.67 ID:E0wTUbGhO
『あー、全世界の皆さん初めましてー!おはこんにちばんはー!
ちゃんと言葉通じてるかなー?
えーっと、突然ですが、本日をもちまして、世界は滅びまーす。つーか滅ぼしまーす、明日!楽しみだねー!
今の内に神様仏様にお祈りしといた方がいいよー?
ま、無駄だろうけどねwwwアヒャヒャヒャwww
そんだけだから。バイバーイ!』
- 7 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 19:30:34.57 ID:E0wTUbGhO
その間、僅か1分。
放送を聞いていた人達は、さぞや驚いただろう。
某二十世紀少年の敵役も真っ青なこのノリ。
だが意外にもと言うべきか、やはりと言うべきか、殆どの人達はこの放送を「映画の宣伝」もしくは「どこかの基地外の電波ジャック」として済ませてしまったのである。
まあ、当たり前といえば当たり前であるのだが。
- 10 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 19:33:52.67 ID:E0wTUbGhO
そして、その放送から24時間後。
世界は、本当に滅びてしまったのだ。
- 11 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 19:38:00.60 ID:E0wTUbGhO
その図は、正に地獄であった。
マグニチュード7を越える地震が世界各地で発生。
それに伴う火山噴火や津波によって、世界人口の約4分の1が死に絶えた。
島や大陸が、割れ、沈み、浮かび上がり、繋がり、やがて2つの新大陸が出来上がった。
この新大陸が、後のラウンジ大陸とVIP大陸である。
- 12 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 19:41:19.66 ID:E0wTUbGhO
生き残った4分の3の更に6分の1は、突如現れた「化け物」や「破壊神」達によって、なぶり殺された。
後にこの怪物達は、クトゥルフ神話の怪物によく似ていることから、「外なる神」、「旧支配者」と呼ばれるようになる。
- 15 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 19:48:16.67 ID:E0wTUbGhO
恐怖は、まだ終わらない。
化け物達に気に入られた虫や動物、果ては人間までもが、化け物達が持つ魔力を注入され、突然変異を起こし、新たなる化け物へと「進化」した。
これが、後の「蟲」と「魔物」達である。
人間はといえば、その膨大すぎる魔力に精神力がついていかず、死んで破裂しただけであった。
- 17 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 19:57:38.59 ID:E0wTUbGhO
蟲や魔物達は、人間を喰い散らかし、生物の頂点から引き摺り降ろした。
人々は恐れ嘆き逃げ惑い、発狂し、世界は混沌と化した。
だが、その人間達を哀れみ、保護した者がいた。
名前を持たないその者は、不思議な力を用いて、人間から化け物や蟲達を遠ざけた。
そして、「安息の土地」のみに住み生きる事を許され、混乱と混沌は次第に収まっていった。
- 19 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 20:04:56.09 ID:E0wTUbGhO
地球を手に入れた怪物達は、敬われるべき「神」として君臨した。
大地は荒野と砂漠が広がり、魔物や蟲達が支配する事となった。
機械文明は地の底へ眠り、僅かに残った人間達は、地を這う蟻に成り下がった。
こうして、2013年1月1日。
新しい世界、「神世界」の時代が、幕を明けたのである――――……。
- 21 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 20:07:01.97 ID:E0wTUbGhO
――――――1人の男の手記、「神世界創造記」第一章より。
序章 終.
- 46 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 21:03:59.62 ID:E0wTUbGhO
時は2513年。
「神世界」創世から、500年の時が経過していた。
ここで、この世界の簡単な説明をさせてもらおう。
世界は、無数の小さな島々と、3つの巨大大陸によって形成されている。
「選ばれた人間」だけが住む事を許された土地、東のラウンジ大陸。
魔物や蟲といった、困難や危険が待ち構え、機械文明の眠る土地、西のVIP大陸。
そして、「外なる神」達が住まう場所、空に浮かぶ大陸、アトランティカの3つである。
- 48 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 21:11:42.80 ID:E0wTUbGhO
ラウンジ大陸は、先程も説明した通り、「選ばれた人間」だけしか住む事を許されない、桃源郷である。
金に溢れ、資源に困る事はなく、永遠の安息と幸せを約束された土地である。
「選ばれた人間」の条件は未だ不明であるが、その「選ばれた人間」だけこそが、ラウンジ大陸に足を踏み入れる事が出来るという。
対するVIP大陸は、資源も少なく、荒野と砂漠と魔境の森に支配され、「安息の土地」でしか生きる事を許されていない。
一歩外に出れば、魔物や蟲達が待ち構えている。
蟲や魔物の専門家である「モンスター・ハンター」、もしくは魔物達と同等の力を持つ猛者でもなければ、土地の境界線から一歩も出る事は許されないのである。
- 50 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 21:21:21.26 ID:E0wTUbGhO
最後は神の住む空飛ぶ大陸・アトランティカだが、情報は殆どと言っていいほど、無い。
「外なる神」達が住んでいる事、太陽を背にして浮かび続けている事しか、今現在解明されていない。
たまに、地上の人間達が神々に拐われるという事件も多発しているが……そこは敢えて触れないでおこう。
さて、この物語は、VIP大陸の極東に位置し、「VIPの入り口」と称される小さな町から始まる。
それは、1人の哀れな男と2人の子供の、世界を取り巻く摩訶不思議冒険浪漫譚―――……。
- 51 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 21:22:46.46 ID:E0wTUbGhO
第1話 ダーティー・チャイルド
- 55 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 21:31:15.33 ID:E0wTUbGhO
(・∀ ・)「ひぃ、ふう、みぃ……なんだ、たったこれだけか」
正午を過ぎているのにも関わらず、じめじめとして薄暗い路地裏に、1人の薄汚い子供がいた。
元はオレンジ色だったカッターシャツは、ボロボロのヨレヨレでサイズも合わず、泥や煤で汚ならしい臍が丸見えだ。
履いているズボンも同様で、継ぎはぎだらけで所々ほつれ、ギリギリ太股を隠せる程度。
そしてその手には、おおよそその格好には不釣り合いの度を越えた、高級そうなサイフが握られている。尻ポケットの中には、同様に財布と高価そうなジュエリーが見え隠れしていた。
つまりこの子供、名をまたんき。
所謂、浮浪児のスリである。
- 56 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 21:36:33.49 ID:E0wTUbGhO
(・∀ ・)「……おっ!こっちはたんまり入ってるな。
…あー、これはカードしか入ってねーや、要らね」
金になりそうな物は、(現金も含め)大事そうに肩に掛けたポーチの中に捩じ込み、カード等の類は全て捨てる。
ついでに、高級そうな財布もポーチの中へ。
現金に換えられる物なら何でも換える。
またんき曰くのモットー(?)である。
- 57 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 21:41:06.48 ID:E0wTUbGhO
一通り「選り分け」を済ませたまたんきは、シャツの下に隠していた金色のロケットを取りだし、開く。
ボロボロになりながらも、色褪せたセピア色の紙に焼き付けられた兄と自分をじっと見つめ、深い溜め息をついた。
それまで、またんきを養っていた兄が忽然と姿を消したのは、まだまたんきが7つの時だった。
いつもの様に、いってきますのキスをして、未だに帰ってくる事のない兄。
幼かったまたんきは、兄との最後の会話すら覚えていなかった。
- 58 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 21:43:55.08 ID:E0wTUbGhO
(・∀ ・)「(……オレには、待つことしか出来ない)」
(・∀ ・)「(でも、それでいいんだ)」
兄は、必ず此処に帰って来る。
あの、いつもの少しやつれた笑顔で、ただいまと言って抱き締めてくれる。
そんな、幻想にも似た願いだけが、またんきの生きる目的にもなっていた。
- 60 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 21:49:33.32 ID:E0wTUbGhO
またんきはもう一度、一枚だけの家族写真を見つめた。
4つの誕生日の記念にと、兄がわざわざ写真屋さんに頭を下げて撮ってもらった宝物。
この写真だけが、兄と自分を繋ぐ絆だと信じて疑わなかった。
(・∀ ・)「…あれから、もう5年か」
(;∀ ・)ポロッ
(う∀ ・)「……もう一件だけトッて、終わりにしよう」
またんきは、側のポールに掛けておいたマントを羽織ると、大通りへと繰り出していった。
( )「…………………………」
忍び寄る影にも、気づかないで。
- 62 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 21:55:16.64 ID:E0wTUbGhO
ワイワイガヤガヤ
キャッキャッウフフ
(・∀ ・)「(………さーて、どいつにするかな……)」
人混みに紛れつつ、フードを目深く被ったまたんきは素早く辺りを見渡す。
一番簡単なのは、旅行者かボンボンのガキだ。
なるべく怪しまれないよう、注意深く観察する。
(・∀ ・)「(………よし、アイツにするか)」
( ´_ゝ`)
またんきが目をつけたのは、モンペを穿いた長身の男だった。
見慣れない服装からして、恐らく旅行者だ。
フラフラとした足取りや、注意力散漫な動き。
カモには丁度いい。
- 64 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 21:59:47.53 ID:E0wTUbGhO
(・∀ ・)「(そうと決まれば……)」
またんきは、小さい体で大人達の間を器用にすり抜けていく。
スリ歴5年という経験が、またんきをここまで育てたのである。
((( ´_ゝ`) (・∀ ・))))
(((( ´_ゝ`) (・∀ ・))))
(・∀ ・)「(あともうちょいっ…!)」
そして。
- 65 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 22:04:37.14 ID:E0wTUbGhO
(((( ´_ゝ`) (・∀ ・))))
(((( ´_ゝ`) (・∀ ・))))
(((( ´_ゝ`)そ(・∀ ・))))ドンッ!
(・∀ ・)「おっと、ごめんよ」
( ´_ゝ`)「ん、ああスマン、こっちこそボーッとしてた」
人の良さそうな糸目は、ご丁寧にも(フリではあるが)またんきの手を引っ付かんで起こしてやる。中々の紳士だ。
(・∀ ・)「あんがとよ。じゃーな!」
男の懐から素早く巾着を奪ったまたんきは、意気揚々と走り去ろうとした。
ポフッ!
lw´‐ _‐ノv「む、すまない」
(・∀ ・)「え、ああ」
- 67 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 22:09:02.02 ID:E0wTUbGhO
油断していたのか、またんきは目の前の少女とぶつかってしまった。
同い年だろうか、黒髪と桃色のワンピースと赤い靴、ネイビーブルーのポーチが印象的な女の子だった。
(・∀ ・)「(………ま、オレには無縁な格好だな)」
またんきは一度だけ振り向いた。
女の子は、先ほどの男と仲良く手を繋いで歩いていた。家族だったのだろうか。
(・∀ ・)「(……悪く思うなよ)」
そう思い、またんきは尻ポケットに手をやって気づいた。
- 68 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 22:12:54.74 ID:E0wTUbGhO
(・∀ ・;)「(……な、無い!?そんな馬鹿な!)」
そう、男からスッた筈の巾着が無くなっていたのである。
そしてまたんきは更に気づいた。
(・∀ ・;)「やられた…………!」
ポーチの中に入れてあった、大量の財布と金品が、ごっそりと消えていたのである。
(・∀ ・;)「(……な、何たる不覚)」
慌てて大通りに戻るが、時既に遅し。
少女と男は、完全に姿を消していた。
- 70 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 22:24:23.37 ID:E0wTUbGhO
(・∀ ・#)「…ックショー!間抜けヅラの癖に手癖の悪ィアマめ!」
怒りの余り、壁に拳を叩きつけるまたんき。
悔しさに、ギリ、と歯軋りが漏れた。
(・∀ ・)「……ん?」
その時、またんきは尻ポケットに紙切れが捩じ込まれてあるのを見つけた。
あの少女が仕込んだのだろうか。
(・∀ ・)「何だこりゃ…」
広げてみると、綺麗な字で只一言、こう書いてあった。
『逃げろ』
(・∀ ・)「ハァ?何のこっちゃ……」
次の瞬間。
- 71 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 22:26:01.20 ID:E0wTUbGhO
( ∀ )「ガハッ……!?」
またんきの後頭部に、重い衝撃が走る。
…ああ、こりゃ駄目かも分からんね。
今まで盗み働いてた天罰かな。
そんな考えが、脳裏をよぎる。
ドサリ、と前のめりに倒れると共に、またんきは意識を手放した―――――……。
- 73 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 22:32:31.83 ID:E0wTUbGhO
( `ハ´)「…やれやれ、ボスは何を考えてるんだか」
特徴的な長い二本のヒゲを生やした中華服の男は、気絶して動かなくなったまたんきを、汚物を見るような目で一瞥する。
「さあね。でも、コイツ連れてかなきゃ、俺達が痛い目見ますからね」
またんきを気絶させたもう1人の男は、軽々と肩にまたんきを持ち上げる。
「とにかく、早く帰りましょう。遅れるとボスが何をしでかすか…」
( `ハ´)「…それもそうでアルな」
中華服の男は、踵を返した。
- 78 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 22:40:52.19 ID:E0wTUbGhO
- ( )「おおっと、ちょいと待ってもらおうか」
( `ハ´)「!!」
全く他人の気配はしなかった筈なのに、いつの間にか、その男か居た。
( ´_ゝ`)「どーもー」
( `ハ´)「……そちらには見張りが居た筈でアル」
( ´_ゝ`)「ああ、あの無駄にゴツい奴らか。
邪魔だったから、少しおねんねして貰ったよ」
その子みたいにね、と付け加えて、またんきを見やる。
( `ハ´)「…我々は急いでるアル、さっさとソコを退くヨロシ」
威嚇するような怒りを含んだ声に、男はクツクツと笑って、こう返した。
( ´,_ゝ`)「ああ、通させてやるよ。
その子を貰った後でね」
- 79 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 22:47:42.78 ID:E0wTUbGhO
場所は変わって、街の宿屋。
ワンピースの少女、シューは、窓越しの真っ青な空をじっと見つめていた。
lw´‐ _‐ノv「………………」
そのあどけない顔で、何を思うのか。
シューは暫くそうしていたが、近づく足音に気づき、真っ先にドアへと駆け寄った。
lw´‐ _‐ノv「お帰り、兄者」
( ´_ゝ`)「ただいま、シュー。遅くなってごめんよ」
180センチを越えた兄者の顔を見上げ、その視線は兄者の腕の中のまたんきへと移った。
- 81 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 22:54:09.20 ID:E0wTUbGhO
lw´‐ _‐ノv「意外と遅かったね」
( ´_ゝ`)「ああ、あの髭面…シナーだったっけ?
アイツに結構手間取った」
lw´‐ _‐ノv「把握した」
ベッドにまたんきを寝かせ、布団を被せてやる。
安らかな寝息を立てているのを確認し、兄者は側にあった椅子に、ズルズルと座りこんだ。
そして、そのまま眠り込んでしまった。
(-∀ -)クカークカー
( -_ゝ-)スピー……
lw´‐ _‐ノv「…お休み」
シューは、タオルケットを兄者に掛けてやると、自分も椅子に寄りかかり、空を見上げた。
青空の中、二羽の小鳥が飛んで行くのが見えた。
- 83 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 22:59:21.96 ID:E0wTUbGhO
(-∀ -)「……んー…」
(・∀ ・)パチッ「ん?」
ガバリと起き上がる。
気づけば、またんきは身知らぬ場所に居た。
(・∀ ・;)「な、何なんだ、この状況…」
またんきは狼狽えた。
いつの間にか、ボロボロだった自分の服は、上下共に清潔なシャツとズボンにスリ変わっていた。
体からも、石鹸の良い匂いが漂ってくる。
lw´‐ _‐ノv「気がついた?」
またんきは、ノロノロと首を動かす。
そこには、椅子にもたれ、またんきに微笑みかけるシューが居た。
- 85 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:05:30.47 ID:E0wTUbGhO
(・∀ ・)「……………………」
m9(・∀ ・;)そ「あーーーーーっ!?」
またんきは一瞬ボーッとしていたが、徐々に記憶が戻ってくると、条件反射でシューを指差し、大声でシャウトした。
それもそのはず、またんきからすれば、シューはポーチから金を盗み(またんきが言える立場ではないが)、自分に最大級の屈辱を与えてくれやがった女である。
(・∀ ・#)「此処で会ったが百年目…目にものを見せてくれr」
グギュルルルルルルルルー。
lw´‐ _‐ノv「…………」
(・∀ ・)「………………」
lw´‐ _‐ノv「…ご飯、食べる?」
(・∀ ・)「うん」
即答だった。
- 87 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:08:45.98 ID:E0wTUbGhO
( ´_ゝ`)「おー、起きてたみたいだな」
街に繰り出していた兄者は、帰ってきてまたんきが元気にご飯を食べてる様子を見て安心したのか、またんきの向かい側にドッカリと座る。
(・∀ ・)「ハムッハムッハフハフッ!」
(;´_ゝ`)「おいおい、溢してる溢してる。
そんなに慌てなくても、飯は逃げないぞ?」
- 89 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:26:22.61 ID:E0wTUbGhO
゚。(・∀。 ・)「ハムッハムッププッ!」
(;´_ゝ`))。「うわっ汚っ!」
食べ物を押し込むように口に入れるまたんき。
(;∀ ;)「う、ううう」
次第に、またんきの目に涙が浮かぶ。
(;´_ゝ`)「おいおい、大丈夫か?」
ウリウリlw´‐ _‐ノvつ□∀ ;)ウウウウ
シューが、ハンカチでまたんきの顔を拭いてやる。
まるで親子だな、と兄者は思った。
(;∀ ;)「うっ、だっ誰かと一緒にご飯食べるのっ、久しぶりだったからっ」
lw´‐ _‐ノv「はいはい、泣きんさんな泣きんさんな」
尚もハンカチで顔を拭かれながら、またんきはお皿が空になるまでご飯を食べ続けた。
- 92 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:34:11.84 ID:E0wTUbGhO
(う∀ ・)「…………」
( ´_ゝ`)「落ち着いたか?」
皿を下げ、またんきが泣き止むのを待って、兄者は話しかける。
(・∀ ・)「…ごめん、なさい」
( ´_ゝ`)「謝らなくてもいいよ」
うりうり、と頭を撫でられるまたんき。
(//∀///)「や、やややめろやい!
ガキじゃあるめーし!」
( ´_ゝ`)「いや、どうみても子d…何でもない」
子供じゃないか、と言いかけて、兄者はシューの「空気嫁視線」に当てられて、慌てて言い直した。
- 93 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:39:54.36 ID:E0wTUbGhO
( ´_ゝ`)「さて、自己紹介がまだだったな。
俺は兄者、こっちはシュー。
ある目的があって、旅をしている」
lw´‐ _‐ノv「どもー」
(・∀ ・)「…オレはまたんき。言っとくがメシ代も服代も払えねーぞ」
( ´_ゝ`)「そんな事は言われんでも分かる。
もとより、払ってもらう気はない」
兄者は一旦会話を切ると、懐から一枚の写真を出した。
( ´_ゝ`)つ□「この男を探しているんだが、心当たりはないか?
[( ・∀・)]
(・∀ ・;)そ「あ、兄貴!?」
- 95 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:45:31.46 ID:E0wTUbGhO
( ´_ゝ`)「知ってるのか!?」
(・∀ ・;)「知ってるも何も、オレの兄貴だよ!」
lw´‐ _‐ノv「あ、確かに似てるかも」
またんきは驚いていた。と同時に、希望が生まれた。
自分が長年待ち続けていた兄を、この男は探している。
もしかしたら、彼なら何かを知っているかもしれない。
(・∀ ・)「な、なあ!
アンタ、ウチの兄貴と何か関係があるのか!?」
何か、兄に関する情報を。
またんきの頭は、兄の事でいっぱいだった。
lw´‐ _‐ノv「……兄者」
( ´_ゝ`)「………………」
(・∀ ・)「なあ!教えてくれよ!
兄者は兄貴の何なんだ!?」
- 96 名前:E0wTUbGhO ◆JG8P3cSkns[sage] 投稿日:2009/10/01(木) 23:49:17.30 ID:E0wTUbGhO
兄者は、躊躇った。
なるべく、口にはしたくない。
(・∀ ・#)「なあ!兄者!!」
( ´_ゝ`)「……じゃあ、言わせてもらおう」
( ´_ゝ`)「…お前の兄貴は…、
俺の家族を、殺した男だ」
1話 完
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