ミセ*゚ー゚)リ謳うようです

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/01(日) 01:30:33.14 ID:IVoV2McD0
池の水面には丸い満月が浮かんでいた。

それをじっと見つめているのはまだ幼い少女だ。その月を掴み取ろうとするかのように手を伸ばしてはひっこめている。

「かあさまに持っていったらどんなに喜ぶか」

手を伸ばしてはまた引っ込める。伸ばしては引っ込める。その動作を繰り返していた。

「ああ、どうしよう」

しくしくしく。少女は泣きだした。まんまるい眼は悲しげに細められ、涙がぽろぽろと溢れ出ている。

「かあさまはお月さまが大好きなのに、今は見れぬ。せめて触らせてあげたらどんなに喜ぶか」

しくしくしく。少女はなおも泣き続ける。

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/11/01(日) 01:32:16.28 ID:IVoV2McD0
「これこれ、そんなに泣いては池の水がしょっぱくなってしまう」

かけられた声に少女が顔を上げると、水面にはぽっこりと丸い皿が浮かんでいた。

「これこれ、何を泣いておる」

更に声が聞こえて、ぽこりと今度は顔が出てきた。
まんまるい眼を見開いて少女が泣きやむと、にまりと笑ったその顔には、くちばしがついていた。

「そなたは水辺に棲む河童という生き物かや」

水辺の生き物はほう、と鳴いて頷いた。

「そなたは力持ちと謳われる河童という生き物かや」

水辺の生き物はまたほう、と鳴いて頷いた。

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:34:44.49 ID:IVoV2McD0
少女は生き物が答えるのが嬉しくなって、声を上げて笑った。

「ほうれ、笑った方がかわいらしいのう」

少女はまた声を上げて笑った。

「ほうれ、泣かない方がかわいらしいのう」

少女はにこにこと生き物を見降ろした。だが、その顔は再び悲しそうに沈んだ。

「どうした幼子や、何が悲しい」

生き物は心配そうに少女を見上げた。少女は悲しそうに月を指差す。

「どうした幼子や、月をどうする」

生き物は水面の月と少女を交互に見やった。少女は悲しそうに手を伸ばす。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:36:51.71 ID:IVoV2McD0
「あれが欲しい、あれをかあさまに持って帰りたい」

生き物は困ったように少女を見上げた。

「幼子や、あれは幻じゃ。取れはせん」

少女は悲しそうに生き物を見降ろした。

「でもかあさまは月が見れぬ。触らねばそれが解らぬ」

生き物はちょっと考えると、自分の皿を取って少女によこした。

「では幼子や、これを持ってお帰り。これだったら月と瓜二つじゃ」

少女はまんまるの目を見開いて、それを受け取った。

「でも河童や、それではそなたが生きられぬ」

生き物はからからと笑って手を振った。

「いいんじゃ、いいんじゃ。もうわしも老いたんじゃ」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:38:31.59 ID:IVoV2McD0
少女はちょっと考えると、自分の髪飾りを取って生き物によこした。

「では河童や、せめてこれを受け取っておくれ。頭の寂しいのもましにならぬか」

生き物はちょっと驚いたが、髪飾りを受け取った。それは色とりどりの唐辛子でできていた。

「それを頭につけるとよい。きっときっと綺麗じゃ」

少女はにこにこと笑っていた。

「ありがとう幼子よ。そなたも早くお帰り」

生き物はそう言って髪飾りをつけると沈んで行った。

「ありがとう河童よ。そなたも元気で」

そう言って少女は踵を返して走って行った。


神の池と呼ばれた池には、時折唐辛子が浮かんでいるという。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:40:01.49 ID:IVoV2McD0




ミセ*゚ー゚)リ謳うようです






8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:40:46.53 ID:IVoV2McD0




壱の巻

  神無月 時雨に濡るる 紅葉葉は ただ侘び人の 袂なりけり

                                          凡河内躬描恒(おおしこうちのみつね)




10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:43:26.16 ID:IVoV2McD0
広い広い屋敷の奥。そこに臥せっている母親と、一人で貝合わせをして遊ぶ幼子がいた。

幼子の髪はまだ上げられておらず、それがより一層子どもを幼く見せている。

('、‘*川「みせりや、わたくしの子。母のそばにおると病が伝染りますよ」

ミセ*゚д゚)リ「いや、かあさまの傍にいるのじゃ」

母親の言葉に、みせりと呼ばれた幼子は耳を貸そうとしない。

('、‘*川「みせりや、わたくしの子。侍女たちと遊んでおいで」

ミセ*゚д゚)リ「いや、あやはすぐに泣きだすもの」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:45:55.38 ID:IVoV2McD0
押し問答のように続くそれに、母であるぺにさすはため息をついた。

元来頑固な子供ではあったが、年を経るにつれてそれが増してきたように思えるのだ。

目も見えず、臥せってばかりのぺにさすは、せめて自分が遊んでやれないことを悔やんだ。

('、‘*川「みせりや、では乳母を呼んできておくれ。話があるのじゃ」

ミセ*゚ー゚)リ「はい、かあさま」

頼み事は素直に聞く。見えぬ目を細めてぺにさすは微笑むと、じっと乳母を待った。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:47:55.23 ID:IVoV2McD0
やがて幼子のけたたましい足音が聞こえ、それと同時に怒鳴り声が聞こえてくる。

ξ゚听)ξ「みせり様! はしたない、足音など立てるものではありませぬ!」

ミセ*゚д゚)リ「つん、怒ると皺が増えるのじゃ」

ξ#゚听)ξ「これ姫様!」

きゃっきゃと声を上げながら、みせりの足音がぺにさすに近づく。

ぺにさすはその笑顔を見る代わりに手探りでそっと頭をなでた。

('、`*川「ありがとう、みせり。かあさまはつんとお話があるから、あやと遊んでおいで」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:51:04.41 ID:IVoV2McD0
みせりは不満げに鼻を鳴らしたが、母親の言いつけには逆らわぬのだろう。

ミセ*゚-゚)リ「はい、かあさま」

今度は足音をさせずに、衣擦れの音だけをさせて去っていった。

ξ゚听)ξ「御用でしょうか、ぺにさす様」

先程とは打って変わった穏やかな声音で、つんはぺにさすに話しかける。

声の方角に首を向け、口元に微笑みを浮かべながらぺにさすは口を開いた。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:52:17.03 ID:IVoV2McD0
('、`*川「実はね、みせりをくうるの元へ預けようと思うの」

ξ゚听)ξ「……それはなにゆえに、ですか」

('、`*川「この間、陰陽師に診ていただいたの」

('、`*川「わたくしは、もう永くはありません」

つんが息をのむ音がぺにさすの耳に届く。

それでも構わず、ぺにさすは続けた。

('、`*川「くうるはわたくしの妹。みせりを悪いようにはしないでしょう」

('、`*川「なによりわたくしは、みせりに死に際を見せとうない」

ξ゚听)ξ「ぺにさす様……」

ぺにさすは悲しそうに笑う。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:54:44.83 ID:IVoV2McD0
('、`*川「それで、そなたに頼みごとがあるのです」

('、`*川「わたくしは、文字が書けません。だから、そなたに代筆を頼みたいのです」

つんはじっとぺにさすの顔を見た。

視線の定まらぬ目は物を何も映さない。

しかし、強固な覚悟がそこには見え隠れしていた。

ξ゚听)ξ「……あいわかりました。文机と紙と墨を持ってこさせますゆえ、少々お待ちください」

そう言い残すと、凛とした声の持ち主は衣擦れの音とともに気配を消した。

('、`*川「……このようなとき、和歌が詠めれば気も晴れたでしょうに」

その呟きは、静まった部屋にひどく響いた。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:57:13.36 ID:IVoV2McD0



从'ー'从「ひめさまー、それはずるっこですぅ」

ミセ*゚ー゚)リ「でもでも、ここはわたしが先にとったのに!」

幼子たちのけたたましい声。それを周囲の使用人たちは笑って眺めている。

手元には様々な遊び道具。一人ではできないものもいくつか転がっていた。

从;ー;从「でも、でもぉ……」

口論は姫と呼ばれたみせりのほうが優勢に見えた。

幼子の一人は鼻をすすり、泣き出してしまった。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 01:59:28.86 ID:IVoV2McD0
ミセ*゚д゚)リ「ほぅら、あやはすぐ泣く!」

やがてけたたましく大声をあげて泣きだしたあやに、みせりはうんざりとした顔をした。

いつもこうしてあやが泣き出してしまい、自分が乳母のつんに叱られるのだ。

ミセ*゚-゚)リ(きっともうすぐ、つんがやってくるわ)

あやの頭をおざなりになでながら、みせりは叱られる覚悟を決めた。

だが、いつまでたってもつんの怒鳴り声はしない。

不思議に思って周囲を見回してもその姿はなかった。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:02:53.55 ID:IVoV2McD0
ミセ*゚-゚)リ「あれぇ……」

小首を傾げ、立ち上がる。

いくらか泣きやんだあやを見下ろし、くるりと踵を返すと庭を歩く下男に声をかける。

ミセ*゚д゚)リ「ねえ、そなた。つんはまだかあさまの所なの?」

( ・∀・)「ええ、きっとそうですよ」

( ・∀・)「文机を運ぶようにと先ほど言いつかりましたので、代筆をなさっておいででは?」

ミセ*゚ー゚)リ「ふぅん……」

みせりは髪飾りをいじりながら、少し考え事をする。

そして顔に満面の笑みを浮かべると、足音を忍ばせて母親の局に向かった。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:07:38.80 ID:IVoV2McD0
从'ー'从「ふえぇ〜、ひめさま、置いてかないでぇ〜」

後ろからみせりよりも軽い足音が付いてくる。

みせりは眉をひそめると、口元に指をあてて静かに、と示した。

ミセ*゚ー゚)リ「かあさまとつんの秘密のお話を聞きに行くのよ」

ミセ*゚ー゚)リ「静かにしなきゃ」

あやは無言でこくりと頷くと、忍び足でみせりに続く。

長い廊下を渡り、局に着くころには足は疲れ果てていた。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:11:37.88 ID:IVoV2McD0
痛む足をさすりながら廊下に座り込み、息をひそめる。

御簾の向こうからは、ひそやかな会話が交わされていた。

('、`*川『わたくしはもう永くありません。あなたに、わたくしの大切な娘を預けたいと思います』

ξ゚听)ξ『……』

さらさらと筆を走らせる音が聞こえる。

けれどそれよりも、いきなり耳に入った母の言葉が信じられなかった。

ミセ*゚-゚)リ「うそだ……」

叫びだしたい衝動に駆られる。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:17:42.17 ID:IVoV2McD0
けれど、衣裳の袖をつかむあやの手の感触で、はたと我に返った。

あやは心配そうな、泣きそうな目でみせりを見つめている。

じっとその目を見つめてから、みせりは笑って見せた。

平気だという意味を込めて。

あやは嬉しいような悲しいような、ないまぜの表情を浮かべている

('、`*川『願わくは、昔そなたと共に見た月を再び見られたらと思います』

('、`*川『どうか健やかに』

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:24:55.95 ID:IVoV2McD0
しばしの筆の音の後、筆を置く音が聞こえる。

それを耳にしたみせりはあわてて立ち上がると、局に背を向けた。

廊下を小走りに走り、自分の局まで戻る。

息を弾ませながら、みせりはあやに告げた。

ミセ*゚ー゚)リ「あや、わたし、月を取ってくる」

从;'ー'从「えぇ〜、ひめさま、どうやって……?」

ミセ*゚ー゚)リ「お屋敷の横の、小路をずずっと行った場所に神さまのお池があるの」

ミセ*゚ー゚)リ「そこだったら、きっときっとお月さまが取れるわ」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:29:33.77 ID:IVoV2McD0
------------------------------------------

その日の深夜。

みせりはこっそりと屋敷を抜け出して、神の池に向かった。

月を映したその池は幼子の目にも神々しく映った。

ミセ*゚-゚)リ「この月を、かあさまに持っていったらどんなに喜ぶか」

手を伸ばしてはまた引っ込める。伸ばしては引っ込める。その動作をみせりは繰り返していた。

ミセ*;ー;)リ「ああ、どうしよう」

しくしくしく。少女は泣きだした。まんまるい眼は悲しげに細められ、涙がぽろぽろと溢れ出ている。

ミセ*;д;)リ「かあさまはお月さまが大好きなのに、今は見れぬ。せめて触らせてあげたらどんなに喜ぶか」

しくしくしく。少女はなおも泣き続ける。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:32:33.32 ID:IVoV2McD0
「これこれ、そんなに泣いては池の水がしょっぱくなってしまう」

かけられた声にみせりが顔を上げると、水面にはぽっこりと丸い皿が浮かんでいた。

('A`)「これこれ、何を泣いておる」

更に声が聞こえて、ぽこりと今度は顔が出てきた。

まんまるい眼を見開いてみせりが泣きやむと、にまりと笑ったその顔には、くちばしがついていた。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:34:27.78 ID:IVoV2McD0
更に声が聞こえて、ぽこりと今度は顔が出てきた。

まんまるい眼を見開いてみせりが泣きやむと、にまりと笑ったその顔には、くちばしがついていた。

ミセ*;ー;)リ「……そなたは水辺に棲む河童という生き物かや」

水辺の生き物はほう、と鳴いて頷いた。

ミセ*;ー゚)リ「そなたは力持ちと謳われる河童という生き物かや」

水辺の生き物はまたほう、と鳴いて頷いた。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:36:28.80 ID:IVoV2McD0
みせりは生き物が答えるのが嬉しくなって、声を上げて笑った。

('A`)「ほうれ、笑った方がかわいらしいのう」

みせりはまた声を上げて笑った。

('∀`)「ほうれ、泣かない方がかわいらしいのう」

みせりはにこにこと生き物を見降ろした。だが、その顔は再び悲しそうに沈んだ。

('A`)「どうした幼子や、何が悲しい」

生き物は心配そうにみせりを見上げた。みせりは悲しそうに月を指差す。

('A`)「どうした幼子や、月をどうする」

生き物は水面の月とみせりを交互に見やった。みせりは悲しそうに手を伸ばす。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:39:01.12 ID:IVoV2McD0
ミセ*゚-゚)リ「あれが欲しい、あれをかあさまに持って帰りたい」

生き物は困ったようにみせりを見上げた。

('A`)「幼子や、あれは幻じゃ。取れはせん」

みせりは悲しそうに生き物を見降ろした。

ミセ*゚-゚)リ「でもかあさまは月が見れぬ。触らねばそれが解らぬ」

生き物はちょっと考えると、自分の皿を取ってみせりによこした。

('A`)「では幼子や、これを持ってお帰り。これだったら月と瓜二つじゃ」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:40:53.56 ID:IVoV2McD0
みせりはまんまるの目を見開いて、それを受け取った。

ミセ*゚д゚)リ「でも河童や、それではそなたが生きられぬ」

生き物はからからと笑って手を振った。

('A`)「いいんじゃ、いいんじゃ。もうわしも老いたんじゃ」

みせりはちょっと考えると、自分の髪飾りを取って生き物によこした。

リ*゚ー゚)リ「では河童や、せめてこれを受け取っておくれ。頭の寂しいのもましにならぬか」

生き物はちょっと驚いたが、髪飾りを受け取った。それは色とりどりの唐辛子でできていた。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:42:18.30 ID:IVoV2McD0
生き物はちょっと驚いたが、髪飾りを受け取った。それは色とりどりの唐辛子でできていた。

リ*゚ー゚)リ「それを頭につけるとよい。きっときっと綺麗じゃ」

ミセ*゚ー゚)リはにこにこと笑っていた。

ミセ'A`)「ありがとう幼子よ。そなたも早くお帰り」

生き物はそう言って髪飾りをつけると沈んで行った。

リ*゚ー゚)リ「ありがとう河童よ。そなたも元気で」

そう言ってみせりは踵を返して走って行った。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:45:18.69 ID:IVoV2McD0
-------------------------------------------------

屋敷に帰ると、つんのお小言が待ち構えていた。

みせりは大事そうに河童からもらった皿を抱えて、大人しく叱られていた。

ξ#゚听)ξ「今回は大事のうございましたから良かったものの……」

ξ#゚听)ξ「かどわかされたら如何なさるおつもりだったのです!」

リ;゚ー゚)リ「ごめんなさい、つん」

ξ#゚听)ξ「まったく……しばらくは謹慎してお勉強に励んでいただきますよ!」

ξ#゚听)ξ「ぺにさす様にもご心配をかけて、もう……」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:51:21.01 ID:IVoV2McD0
リ;゚ー゚)リ「本当に、ごめんなさい・・・…」

ξ゚听)ξ「……もう、よろしいですわ。今日はもうお休みなさい」

つんは大きなため息をつくと、みせりを寝所まで連れて行った。

寝間着に着換えさせ、すでにのべてあった床にみせりを寝かす。

その間も、みせりは決して河童の皿を離そうとしなかった。

ξ゚听)ξ「それは、どうされたのです?」

リ*゚ー゚)リ「かあさまに、月を取ってきたの」

みせりの言葉につんはまじまじと皿を見る。

だがつんの眼には、ただの小汚い皿としか映らなかった。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/11/01(日) 02:53:00.50 ID:IVoV2McD0
ξ゚听)ξ(まあ、それくらいでしたらよいでしょう……)

幼子の楽しみをこれ以上奪うのも可哀想だ。

そう考えたつんはそれ以上の追及をしなかった。

寝かしつけられたみせりは、それはそれは幸せそうな顔をしていたということである。



つづく


戻る 次へ

inserted by FC2 system