- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 19:25:21.76 ID:H+ONuFKd0
この作品は続き物です。
本気で楽しみたい酔狂な方は、
・( ・∀・)「はい、こちら皆様の明るく楽し(以下略)」のようです
・(;^Д^)「俺は惚れっぽくもないし流されやす(以下略)」のようです
を最低でも先に読んでおくことをオススメします。
どちらも十分程度で読めるので。
あるいは、
・ ξ゚听)ξ さん家のメイド……のようです
も読むと、より面白いのかもしれません。
- 3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 19:28:40.64 ID:H+ONuFKd0
――『非日常』ってやつは、こちらが望む・望まないに関わらず、さながら通り魔みたいな理不尽さで襲い掛かってくるものだ。
これは伝え聞いた教訓じゃなく単なる経験則。
なんやかんやで中学生の美少女を家におくことになった俺が言えば説得力もあるってもんだろう?
(;^Д^)「はぁ……食費も二人分だとバカにならねぇ……」
たとえば、それは大学の構内。
今日は何処のスーパーが特売だったかとか、そんな風なことを思いながら歩いていた時のこと。
( ^Д^)「……ん?」
俺は――非日常に遭遇した。
“それ”は、この何の変哲も無い大学で、平然と堂々と、メイド服を着ていた。
いや、正直それは大した問題じゃないんだ、この場合。
これはただの勘だが、問題は――
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 19:31:05.25 ID:H+ONuFKd0
( ><)「僕はメイドガイ、天鵞絨!勝負なんです、VIP大『アドバイス部』!!」
ξ;゚听)ξ「ええっ、いや、あの……」
( ・∀・)「上等だぜ。言っておくが――俺は、強いぜぇ?」
ξ;゚听)ξ「そうじゃなくてね。そうじゃなくて……」
( ><)「あなたがどれだけ強かろうが、お嬢様――もとい、“元”お嬢様に関しては、負ける気がしませんね」
ξ#゚听)ξ「お前等人の話を聞けぇぇぇぇぇぇええええええ!!!」
……ま、そんな感じのようです
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 19:34:05.37 ID:H+ONuFKd0
( ^Д^)「つい先ほど気になるものを見た。そして気になったら調べるのが俺のやり方」
(#゚;;-゚)「調べる、とは」
( ^Д^)「当然先輩に連絡を取るんだよ。同居人」
ピッ ピッ ピッ……
( ^Д^)「この大学一の情報通であり、『アドバイス部』部長たるモラ先輩に」
トゥルルルル!トゥルルルル!
( ^Д^)「…………」
トゥルルルル!トゥルルルル!
(;^Д^)「………アレ?っかしーな……」
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 19:37:15.08 ID:H+ONuFKd0
ガチャ
( ^Д^)「……あ?もしもし、先輩?」
『ふぅ……こちら、アドバイス部だが………はぁ』
(;^Д^)「(女の声?しかも、スゲーやる気なさそー……)」
『…………………切っていいかな?』
(;^Д^)「駄目に決まってんでしょ!!っつーか誰ですかアンタ!!?モラ先輩は――」
ブチッ!!
ツーツーツー…
(#゚;;-゚)「切られましたね」
( ^Д^)「切られました」
- 7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 19:40:07.48 ID:H+ONuFKd0
川 -)「あー、だる……。モララーは毎日こんなことやってたのか……」
トゥルルルル!トゥルルルル!
川 -)「アイツ……家族死んでから妙に、こう………なんだ、」
トゥルルルル!トゥルルルル!
川 -)「不自然な感じ、というか…………さて、出るか」
ガチャ
川 ゚ -゚)「もしもし、アドバイス部ですが」
『間違ってないですよね?(……で、この人誰だ……?)』
川 ゚ -゚)「間違ってなどいない。ちなみに今日は美少女と美少年の依頼しか受け付けない。理由は私の気分だ」
『――って、クー先輩かぁぁぁああ!!』
川 ゚ -゚)「そうだけど」
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 19:43:10.90 ID:H+ONuFKd0
川 ゚ -゚)「というか今のやり取りで私と特定されてしまうと何か変態みたいじゃないか、私」
『変態でしょ』
川 ゚ -゚)「否定はしないな」
『っつーか普通、美少年だけだと思いますけどね。女性なら』
川 ゚ -゚)「私は女性ではないしな」
『………へ?』
川 ゚ -゚)「性自認が苦手なのだ。私は。性自認に限定せず、“自分”が曖昧至極なんだよ」
『……性同一性、ってことですか?』
川 ゚ -゚)「よく知りもしない言葉を使うと馬鹿に見えるぞ」
『すいません』
川 ゚ー゚)「すぐ謝るのは良いことだな。モララーの後輩のくせに見所がある」
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 19:46:05.74 ID:H+ONuFKd0
『身の上トークが続くと思ったかもしれないが、別にそんなことはないんだぜ!!』
(;^Д^)「いやトークをしたいのはこちらであってですね……」
『これ以上は「クーお姉様はぁはぁルート」に入ってから聞いてくれ。じゃ、そういうことで』
ブチッ!
(;^Д^)「――くっそう!また切られた!!なんだ『クーお姉様はぁはぁルート』って!!」
(#゚;;-゚)「筋金入りの変態ですね」
(;^Д^)「もっかいだ!もう一回!!」
(#゚;;-゚)「プギャーさんは、しつこい男です」
( ^Д^)「粘り強いと言え」
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 19:49:06.57 ID:H+ONuFKd0
トゥルルルル!トゥルルルル!
ガチャ
川 ゚ -゚)「――はい、こちらラグーン商会」
『国際電話になっちゃった!!この回線ってロアナプラにも繋がってんの!!?』
川 ゚ -゚)「うるせぇな、ケツ穴も一つ増やされてぇのか?」
『クー先輩はトゥーハンドってか、むしろ教会のシスターですけどね』
川 ゚ -゚)「うるさい」
川 ゚ -゚)「……しかし、その粘り強さには感服だ。顔も中々良いわけだし話ぐらい聞いてやろう」
『……なんか分からないですけど、ありがとうございます』
川 ゚ー゚)「さて、そこで提案だが私の奴隷に――」
『――なりません』
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 19:52:07.74 ID:H+ONuFKd0
(#゚;;-゚)「プギャーさんが奴隷になってしまったら私はどうすればいいんですか」
『一緒に奴隷になれ、美少女』
(#゚;;-゚)「つい先日まで家畜として売買されてた子供によくもそんなことが言えますね」
(;^Д^)「(ヤな返しだなまた……)」
『……ふん。これは忠告だがな、美少女』
(#゚;;-゚)「……はい」
『あまり、今の生活に慣れない方がいいぞ。いくら美少女と言えど、その馬鹿と一生一緒にいることなんてできないんだからな』
(# ;;-)「――――っ」
パッ
( ^Д^)っ】「……クー先輩」
『なんだ。怒ったのか?』
( ^Д^)「いえ。ちょっとだけ、訂正です」
- 13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 19:55:08.50 ID:H+ONuFKd0
『俺は、』
川 ゚ -゚)「……俺は?」
『俺は言いました。“出て行く気になればいつでも行けばいい、でもそれまでは一緒にいよう”って』
『それは今でも変わってません』
川 ゚ -゚)「ふん。……そうやって一生甘やかすつもりか?」
『兄貴が二人、妹も二人いるんです。家族が今更一人ぐらい増えたって……変わりゃしませんよ』
川 -)「…………ふん」
川 ゚ー゚)「お前が、どうしてモララーと上手くやっているのか分かった気がするよ」
『へ?』
川 ゚ -゚)「なんでもないさ。……それで、今のアイツの連絡先だったな?」
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 19:58:07.74 ID:H+ONuFKd0
【帝都某所・大学病院】
从 ゚∀从「モララーかぁ……変わった名前だね」
( -∀-)「しょっちゅう言われますよ。医者に面と向かって言われたのは初めてですけど」
从 ゚∀从「ハッ、うるせーよ怪我人が。誰が車椅子押してやってると思ってんだ?」
从 -∀从「……ところで。もしかしてだが、お前の両親って歴史系の学者かなんかか?」
( ・∀・)「ああ、」
( ・∀・)「よく分かりましたね。考古学者だったらしいです」
从 ゚∀从「どーりで」
トゥルルルル!トゥルルルル!
从 ゚∀从「……おい病院は携帯禁止だぞ」
( ・∀・)「今は外じゃあないですか」
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:01:13.19 ID:H+ONuFKd0
『――はい、こちら鳴海探偵事務所』
(;^Д^)「アンタはまさしくハーフボイルドですよねぇ、モラ先輩!!」
『……なんだお前か。トソンかと思って期待した俺のワクワク返せ』
( ^Д^)「なんで同棲してんのに電話でワクワクしちゃうんですか。もはや気持ち悪いですよ二人共」
『今は俺が病院だから一日数時間しか一緒にいれない』
( ^Д^)「十分です。共依存にしても酷過ぎます」
( ^Д^)「……で、また今度はどうして入院?」
『色々あったんだ』
( ^Д^)「俺はモラ先輩と知り合って一ヶ月ですけど、怪我してるの見るのは二回目なんですが」
『細かいことを気にするなって。いつものことだ』
( ^Д^)「いつものことなのかよ」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:04:09.20 ID:H+ONuFKd0
( ・∀・)「…ああ、」
( ・∀・)「いつも通り、勘違いでトソンに刺されただけだよ」
『――こいつぁマジな忠告ですけどねっ!先輩達は一度真面目に話し合ってみるべきだと思いますよ!!』
( -∀-)「脇腹刺されたぐらいで大袈裟な……」
从 ゚∀从「そん時医者である俺が近くにいなけりゃ死んでたかも知れないことをお忘れなく」
( ・∀・)「……大体、普段だって真面目に話し合ってるよ。愛を」
『それは“話し合ってる”じゃなく“語り合ってる”です!!アンタらはアレか、ポエムとかやっちゃう痛い中学生カップルか!!』
( ・∀・)「うるせーな。脇腹に響くっての。痛い」
『痛いのはアンタ自身!!』
( ・∀・)「叫ぶなよ。電話壊れたらどうするんだ、愛しい伴侶と連絡が取れなくなっちゃうだろ」
『壊れかけてるのもアンタの頭です!!』
- 17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:07:14.35 ID:H+ONuFKd0
(;^Д^)「はぁ、ふぅ……モラ先輩と話してると退屈しませんよ」
『そう? やっぱりー? あははははー』
( ^Д^)「一応言っておきますけど今のは皮肉です」
( ^Д^)「……そもそも、どうやったら勘違いで脇腹刺されることになるんですか」
『あー、それね』
『ちょっとメイドと揉み合いになっちゃって』
(;^Д^)「…………メイド?」
『メイドってか……知り合いみたいな、こう……』
『メイド服を纏った男の知り合い的な?』
- 19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:10:17.06 ID:H+ONuFKd0
『先輩、奇遇ですね』
( ・∀・)「なにが?」
『俺が聞きたかったのもそれです』
『今日、構内でメイド服を着た…アレ男だよな……まぁ、メイド服の男性を見まして』
( ・∀・)「ああ、多分同一人物」
( ・∀・)「女顔で女装が似合うメイド服の同級」
『…………』
( ・∀・)「厳密には友達の友達的な感じなんだけどな」
『……先輩、これは訊いちゃ駄目な質問なのかもしれませんが、』
『なんで男なのにメイド服を?』
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:13:08.45 ID:H+ONuFKd0
『ああ、』
『――単なる趣味だ』
(;^Д^)「ちっくしょう!!やっぱ、そのパターンか!」
(;^Д^)「モラ先輩の知り合いには全く退屈しませんよ!!」
『あっはっは。褒めるな』
(;^Д^)「今のも皮肉です!!」
『――しかし、そこまで言うなら、実際に会ってくればいい』
( ^Д^)「へ?」
『アドバイス部としての初の活動だ。プギャー、お前はツンに会ってこい』
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:16:09.45 ID:H+ONuFKd0
【北ブロック・VIP大近郊】
( ^Д^)「――まぁ、そういうわけで『アドバイス部』後輩としての初活動だ」
(#゚;;-゚)「はぁ」
( ^Д^)「ツンさんとか言うモラ先輩の知り合いに会って、相談に乗る。ついでにメイドのことも聞く、という」
(#゚;;-゚)「それは重々承知していますが……」
(#゚;;-゚)「……なんで私まで?」
(;^Д^)「え、だってなんか怖いじゃん」
(#゚;;-゚)「クーさんとの会話を聞いて少しトキめいた私が馬鹿でした。プギャーさんは、ヘタレです」
( ^Д^)「用心深いと言え」
(#゚;;-゚)「だからと言って年齢にして中学生の女子を同伴させるあなたの危機管理体制はどうですか」
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:19:14.78 ID:H+ONuFKd0
( ^Д^)「仕方ないじゃん。俺は兄貴や妹達と違って一般人なんだよ」
(#゚;;-゚)「兄様はまだしも妹君にも負けてますか」
( ^Д^)「単純な力比べなら負けないぜ!」
(# ;;-)「…単純じゃない取っ組み合いなら負けるんですね、はぁ……」
(#゚;;-゚)「先ほどから私の中のプギャーさんの株は下がりっぱなしです」
( ^Д^)「うるせぇ。それぞれが武道の師範代レベルの兄妹なのに勝てるか」
テクテクテク…
( ^Д^)「しかし、遠い」
(#゚;;-゚)「緑化公園が目的地なのは分かりますが、そもそもその公園自体が軍隊の基地一つが軽く入る大きさなのはどういうことですか」
( ^Д^)「さぁ? よっぽど緑が欲しかったんじゃないか?」
( ><)「結界を張り変わり者達を一箇所に集める為。……そんな馬鹿な理由もあるらしいですよ」
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:22:10.25 ID:H+ONuFKd0
( ^Д^)「結界?んな、うちの実家じゃあるまいし……」
(#゚;;-゚)「プギャーさんの家には結界があるのですか」
( ^Д^)「神社だからな」
( ><)「ご出身地から考えるに……雨斎院神社ですか?」
( ^Д^)「そうそう。割と有名らしいけどよく知ってんな――って、」
(;^Д^)「――なにすんなり目的とする人物が会話に入ってきてんですかこの移動の意味なくなるでしょつーかいつの間に?」
(#゚;;-゚)「妹君の話の辺りから背後に回られてました」
( ><)「バレてたか」
(;^Д^)「ナチュラルに人を尾行するのは止めて下さい。って言うか、気づいてたんなら言え」
(#゚;;-゚)「すいません。うっかり」
- 24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:25:10.14 ID:H+ONuFKd0
【移動後〜緑化公園・丘上小広場】
ξ゚听)ξ「――で、誰?」
( ^Д^)「プギャーです。モラ先輩の代理のようなもので来ました」
ξ゚听)ξ「ああ……刺されてたみたいだけど大丈夫だった?」
(;^Д^)「なんとか。――ってか居合わせたんならトソ先輩止めて下さいよ」
ξ゚听)ξ「いやその時は、」
ξ*^竸)ξ「私の為に二人の男が争っているというスバラシイ事実に浮かれてて失念してたわ」
(; Д)「…駄目だ、この人もおかしい……」
ξ#゚听)ξ「おい聞こえてんぞ後輩」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:28:14.31 ID:H+ONuFKd0
(#゚;;-゚)「…ところで何故モララーさんと、えっと……」
( ><)「ビロードです。メイドガイのビロードです、お嬢さん」
(#゚;;-゚)「――変態さんは言い争いになってたわけですか?」
( ><)「あれ意外と辛辣?」
ξ--)ξ「モララーとこの非常識の塊みたいなダメイドは、」
( ><)「つい先日までETCを次世代ゲーム機だと思っていた人に非常識とは言われたくありません」
ξ#゚听)ξ「ちょっと黙ってろ」
ξ゚听)ξ「――で、二人は私の相談に乗ってたのよ」
( ^Д^)「相談ですか?」
ξ゚听)ξ「そう。幼馴染へのプレゼントについてね」
- 26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:31:19.01 ID:H+ONuFKd0
( ><)「ツンさんの幼馴染であるピザなピザ屋さんは――」
ξ#゚ー゚)ξ「私の幼馴染の名前は『ブーン』よ、ビロード。オゥケイ?」
( ><)「失礼」
( ><)「で、大通りを三本入った場所のピザ屋で働く肉塊は――」
ξ#゚听)ξ「おい余計に酷くなってんぞ」
(#゚;;-゚)「…仲良いですね」ヒソヒソ
( ^Д^)「…三角関係らしいぞ」ヒソヒソ
ξ#゚听)ξ「そこの二人も聞こえてるからな」
( ><)「お嬢様。僕と過ごした熱い夜をお忘れで?」
ξ#゚听)ξ「勉強やってただけだろ。確かにアレは頭から火が出そうなほど難しかったけど」
( ><)「高三にして解の公式を平然と難しいと言えてしまうツンさんはやはりどうかと思います。よく大学入れましたね」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:34:09.66 ID:H+ONuFKd0
( ^Д^)「…流石、伝え聞いてた通りのバカさ加減」ヒソヒソ
(#゚;;-゚)「…解の公式って中身が判別式になっているというあのお助けアイテムですか?」ヒソヒソ
ξ#--)ξ「だから聞こえてるっての。そして難しい言葉を使って誤魔化すのはやめろ」
ξ#゚听)ξ「これだから高学歴は……っ!!」
( ><)「ツンさん、判別式知らなくてどうやって関数解いてたんですか? 勘?」
(#゚;;-゚)「というか私は高学歴どころか学校すら行ったことがありませんけど」
ξ;゚听)ξ「な、なによ!世の中にはね、勉強なんかよりもっと大切なことが沢山――」
( ><)「――相変わらず家事全般壊滅してますけどね」
ξ#゚听)ξ「ああああああ!!もう、うるさいうるさいうるさーーーい!!!」
( ^Д^)「子供かアンタは」
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:37:11.58 ID:H+ONuFKd0
( ^Д^)「――で? このワールドイズマインを地で行く典型的お嬢様さんの悩みって?」
( ><)「それは、」
ξ )ξ「…いいもんいいもーん。ブーンが養ってくれるもーん……」
(#゚;;-゚)「(拗ね出しやがりましたね。現実で蹲って“の”書く人初めてみました)」
( ^Д^)「(ああ俺、こういうタイプ苦手だ。デレさんがいかに自立してたかを思い知らされる今日この頃)」
( ><)「(本当にどうしようないんです、お嬢様……。それも一興なんですけどね)」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:40:12.04 ID:H+ONuFKd0
( ><)「で、まぁつまりは誕生日プレゼントです」
( ^Д^)「そのピザさんの、ってことですか?」
( ><)「そういうわけです。その計画が真っ二つに割れてしまいまして」
(#゚;;-゚)「はぁ、なるほど……」
(#゚;;-゚)「――ところで“たんじょうびぷれぜんと”とは如何様なものなのでしょう?」
(;><)「……は?」
(;^Д^)「…流石元奴隷。通常とは違う意味で浮世離れしてやがるよ……」
( ><)「そして解の公式やのの字知ってて誕生日プレゼント知らないのはどういうわけですか?」
(;^Д^)「くっ、教育方針を間違えたぜ……」
( ><)「あなたの所為か」
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:43:12.35 ID:H+ONuFKd0
ξ )ξ「――誕生日プレゼントというのはね、お嬢ちゃん」
ξ゚ー゚)ξ「自分の大切な人が……同じ世界の同じ時代に生まれて、そして、出会えたその奇跡を祝う記念品みたいなものよ」
(#゚;;-゚)「…………」
(*^;;-^)「…それは、とてもロマンチックです」
ξ*--)ξ「でしょ? だから私達はね、毎年同じ日に“来年も一緒にいられますように”って願いを込めて渡すのよ」
( ^Д^)「………へぇ、なるほど。モラ先輩の友達なわけだ」
( ><)「凄いロマンチスト……と、言うかバカ」
( *><)「ふふん。それでもあの人が僕のお嬢様だった人なんです」
( ^Д^)「バカばっかだな。そのピザ屋も、アンタも」
(;><)「な……なんのことなんです?」
( ^Д^)「さぁ? なんのことなんだろうな?」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:46:10.82 ID:H+ONuFKd0
( ^Д^)「――しかしな、それでなんで掴み合いになることに?」
( ><)「途中までは上手くいってたんですけどね……」
( ・∀・)『あげるとすれば……純潔だな』
( ><)『あげるとすれば……純潔ですね』
ξ///)ξ『えええええ!!? 純潔って、その……』
( ・∀・)『所謂処女だ。これほど男から見て重いものもない』
ξ///)ξ『口に出さないでよぉ……』
( ><)『(普段は下ネタオーケーなのに肝心な時だけウブですね)』
( ・∀・)『(お嬢様キャラらしいっちゃあ、らしいけど)』
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:49:23.71 ID:H+ONuFKd0
( ^Д^)「……話まとまってんじゃないですか。ちょっと、中学生には聞かせたくない感じですけど」
(#゚;;-゚)「大丈夫です。私は、つい先日までそういう――むぐっ!」
( ^Д^)「はーい、言わざる・思い出さざる・醸し出さざる。話重くなるので身の上トーク自重ー」
( ^Д^)「……で、何を揉めたんですか?」
ξ゚听)ξ「渡し方をね」
( ><)「ええ、」
( ><)「――セーラーかブレザー、衣装をどちらにするかで」
(; Д)「駄目だ、コイツ等……。コスプレ前提かよ……」
( ><)「偉大な文化ですよ?」
(; Д)「うわー。日常的にメイド服着てる人が言うと凄い説得力ー」
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:52:14.59 ID:H+ONuFKd0
ξ゚听)ξ「そう。あなたに頼みたいのは、オルタナティブ的な新しいアイディアなのよ」
( ^Д^)「一応指摘しておきますが“オルタナティブ”って“二者択一”って意味もありますからね」
( ^Д^)「……しかしなぁ、」
( ^Д^)「その、ブーンって人……本当に純潔貰って嬉しいかな?」
ξ゚听)ξ「…………え?」
ギリギリ…
ξ#゚ー゚)ξ「それは、私に魅力がないってことかしら? ねぇ?」
(; Д)「ぐおっ、くるし……首絞めっ……」
(;><)「大丈夫ですよツンさん!僕は、あなたが頑張ってサイズをAからBにランクアップさせたことを知ってます!!」
ξ#゚听)ξ「乙女の秘密をよく知りもしない奴の前でバラしてんじゃねぇぇえええ!!」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:55:12.01 ID:H+ONuFKd0
(; Д)「ごほっ、ごほ……」
(#゚;;-゚)「大丈夫ですか?」
(; Д)「なんとか……っていうか黙って見てないで助けろよ」
(#゚;;-゚)「面白くて、つい」
(;^Д^)「いや、魅力とか、そうじゃなくてですね――ツンさん」
( ^Д^)「大事なのは“誕生日”で“ブーンさんが喜ぶ”ってことなんでしょう?」
ξ )ξ「……なによ」
ξ )ξ「言いたいことがあるなら、はっきり言いなさいよ……。私みたいなワガママな――」
(;^Д^)「――そうじゃなくて。だからですね、」
( ^Д^)「モラ先輩の友達で、あなたの恋人である人が……そういうのが好きだと、どうにも俺には思えないんです」
- 39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 20:58:12.53 ID:H+ONuFKd0
ξ;゚听)ξ「……え?」
(;^Д^)「嬉しくない、ってことじゃないんでしょうけど……あの、そうじゃなくて……ああ上手く言えねぇ」
ξ--)ξ「…………」
――中学時代だったかな。
ブーンの家が、ちょっと揉めちゃってて。
元から、あんまり良好って感じじゃなかったんだけど、あの時は酷かったなぁ。
ξ゚听)ξ「(……あの時、)」
みんな心配して。
それこそバカみたいに、何もできないくせに気を使って。
誰かが泣いているのとか、辛そうにしているのが本当に嫌で仕方なくて。
ξ--)ξ「(ブーンは……)」
ブーンは、そんな私達を見て言った。
- 40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 21:01:40.00 ID:H+ONuFKd0
( ω)『大丈夫だお』
( ω)『どんなに悪いことがあっても、友達とどうでもいい話したり、好きな人と笑い合ったり……そんなのが嬉しくて、だから、』
( ^ω^)『――みんながいれば、そんなに悪くないって思えるんだお』
ξ--)ξ「…………」
(;^Д^)「……こう、だからですね、そういうのは二人だけの記念日にとっておいて、誕生日は、」
ξ゚听)ξ「――誕生日は、みんなでやりましょう」
(;^Д^)「え?」
ξ*--)ξ「ふん。私の純潔なんてブーンにはまだ早いわよ。今は、精々みんなで遊ぶぐらいで十分。それが分相応だわ」
ξ*゚听)ξ「お似合いだわ――私達に。ね?」
(#^;;-^)「……そうですね」
( ><)「やれやれ。全くなんです」
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 21:04:23.18 ID:H+ONuFKd0
【帝都某所・大学病院】
从 ゚∀从「おい、そろそろ戻るぞ」
( ・∀・)「まぁまぁ。待って下さいよ、俺の顔に免じて」
从 ゚∀从「お前の顔に免じることなんざ何一つねぇっての。そのご大層な名前ぐらいには免じてやってもいいがな」
( ・∀・)「……何言ってるんですか?」
トゥルルルル!トゥルルルル!
( ・∀・)「っとっとっと。ようやくかな?」
ピッ
( ・∀・)「――はい、こちらブリッジ」
『弾幕薄いぞ、何やってんの!?……ってこんな感じで?』
( -∀-)「そうそう。いいノリだ、艦長。息子さんの件は残念だったね」
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 21:07:13.48 ID:H+ONuFKd0
( ^Д^)「……先輩。それ、いつまでに治せます?」
『ハハッ。愚問だな、後輩』
『俺はデートは三十分前集合。そして――親友の誕生日パーティーに欠席したことないのが自慢の男だぜ?』
( ^Д^)「お見通しですか。先輩は、やっぱ凄いです」
『別に凄かねぇよ』
『ただ、これから他人様の悩みを解決しようって人間が……、家族みてーなもんであるツレのことを分かってなくてどうするよ?』
( ^Д^)「……そりゃそうだ」
(#゚;;-゚)「ご尤もです」
( ><)「本当に、あなたには敵いません」
ξ*゚听)ξ「そんなのどうでもいいから……さっさと治してお膳立ての準備始めなさいっ!!」
『はいはい。お嬢様の仰せのままに、ってか?』
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 21:10:12.08 ID:H+ONuFKd0
…パタン
( ・∀・)っ】「“みんながいれば、そんなに悪くないって思える”か……。傑作だぜ、ブーン」
( ・∀・)「お前はさも俺達から教えられたように言ってるがな、」
( -∀-)「俺は、他でもない――お前からそれを教えてもらったんだぜ? お前はバカだから、どーせ覚えてないだろうがな」
( ・∀・)「……さて、行きましょうか」
从 ゚∀从「あいよ。安静にしなきゃ、なんだよな?」
( -∀-)「ええ。ありがたいことに、いつの間にか自分一人の身体じゃなくなってたもんでね」
……VIP大『アドバイス部』
本日の活動は終了ですが、後日再集合で誕生日パーティーします!!
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 21:13:45.95 ID:H+ONuFKd0
ご支援ありがとうございました。
ひたすらに迷走を続けるこのシリーズ、書いてる自分もよく分かりません。驚きだ。
中身がないのが中身、という逆説的言い訳をしてみよう。
家族の話であり、家族になるかもしれない人の話であり、家族のような人間関係のお話でした。
母の日。ちゃんと祝いましたか?
小ネタを結構仕込んだので、考えてみてください。
では、また縁が合えば。
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2010/05/14(金) 21:16:21.75 ID:H+ONuFKd0
〜 おまけ 〜
( ^Д^)「ああ、そういやでぃ。お前の誕生日っていつだ?」
(#゚;;-゚)「さぁ?知りません。……そういう、瑣末な事柄を気にする境遇に生まれついてないもので」
( ^Д^)「…………」
( ^Д^)「まぁ確かに、誕生日程度、どうでもいいよな……」
(#゚;;-゚)「そうです。そうですよ」
( ^Д^)「――これから、もっと別の記念日を作っていけばいいだけなんだから」
(;#゚;;-゚)「えっ……?」
( ^Д^)「さー帰るぞー。今日は貰ったパンミミでグラタンだー」
(#// -/)「あ、あのプギャーさん……? 今なんと……というか、もうパンミミ飽きた……」
( ^Д^)「黙れ元居候。さっさと帰るぞー」
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